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電子コインと電子ペーパーの実用化で終わる紙メディア

今から書くことは数年以内に始まる変革だと、私は想像しています。

現在、「電子ペーパー」と称するものが商品化されていますが、私がここで指すものは、有機EL技術などを使ったフルカラーで曲がるディスプレイとご理解ください。

その種の「電子ペーパー」が廉価で商品化されるのは時間の問題だと思われます。

その予測については3月の記事でも触れました。

SFで見た未来を実現する有機ELの巨大ポテンシャル
先日、「次世代テレビは韓国の勝ちだ」という記事を書きましたが、有機EL関係でもう一丁、書いておきたいと思います。 LG 55V型 有機ELテレビ 曲面型 外付けHDD録画対応(裏録対応) OLED 55EG9100 日本の...

他方、つい先日、三菱UFJ銀行の「MUFGコイン」や、みずほフィナンシャルの「Jコイン」などに代表される仮想通貨が、1円や10円といった小額の決済をネット上で可能にするであろうことは、以下の記事で触れました。また、それによってコンテンツビジネスに大きなイノベーションが引き起こされるとの予測も述べました。

「この続きは1円で」がコンテンツビジネスを激変させる
みなさん、こんにちは。 今日は少し先の未来について想像してみたいと思います。 「なかなか面白いな」と思いながらある記事を読み進めていると、いきなり次のような表示に出くわし、水を差された経験はないでしょうか? 上は朝...

とりあえず、ここでは仮想通貨と呼ばず、広義の「電子マネー」としておきます。

自動車の登場が街から馬車を一掃したように、私たちはこれまでテクノロジーが古い産業を一掃してしまうイノベーションを絶えず目撃してきました。

インターネットが登場した当初、従来の新聞と出版に代表される紙媒体は将来滅びるとの予測が囁かれました。しかし、それはいささか急進的な予測でした。というのも、本格的なネット社会が到来して20年が経った今、たしかに紙媒体は衰退しましたが、私たちの眼前にあるのは、依然として両者の共存が保たれた現実だからです。

おそらく、そうなるには「何か」が欠けていたのです。どうやら、それが電子ペーパーと電子マネーの本格実用化だと思われます。インターネットというより、それプラス、その二つの要素の普及が、紙媒体にトドメを刺すことになるようです。

分かりやすいように、私なりのイメージを記してみました。

上の人物は、夕刊紙サイズの電子ペーパーを手にしています。

両サイドに開くだけでなく、ちょうど手に持っているところで折りたためるので、ビジネス鞄に収納することもできます。曲がることは曲がりますが、少し厚みがあって、ペラペラと垂れないようになっています。装置部分はバッテリーやCPU等です。

彼が日本経済新聞を読んでいるとしたら、これがホントの「日経電子のバーン(版)」かもしれません。しかも、電子ペーパーと新聞は、プラットホームとソフトウェアの関係であり、これ一台あれば様々な種類の新聞が好きな時に読めます。

従来の「月極支払い」や「一部売り」や「配達」の常識は完全に終焉します。代わって、その日に読みたい新聞をワンクリックで購入する形になります。配達人が朝早く届ける光景や、オフィスに土日分の新聞が溜まる光景は、昔日のものとなります。

それどころか「『この続きは1円で』がコンテンツビジネスを激変させる」で記したように、1円や2円といった超低額で、「読みたい記事だけ」の購入も可能になります。

電子新聞なので動画や音声も付けられます。ニュース映像も付くとしたら、新聞・テレビの垣根が崩れることになります。速報が瞬時に紙面に反映できるので、時事ネタのタイムラグもありません。タッチ操作で記事の“切り抜き”や保存も可能。読むのが面倒な人は、記事を指定して、音読ソフトを起動すればいい。ラジオのニュースに近い。

このように“新聞”が映像を流したり、喋ったりすれば、従来の新聞の概念そのものが崩れることになります。

しかも、この電子ペーパー装置は、新聞表示に適したサイズですが、新聞専用ではない。よって、たとえば、ある日の通勤列車の中を覗いてみると、乗客たちがこのデバイスを使って、それぞれ好みのメディアに没頭している光景を見ることができるでしょう。

ある人は本や週刊誌を読み、ある人は「少年ジャンプ」や女性ファッション誌を見、ある人はテレビ・映画を視聴し、ある人はゲームをやり、ある人は誰かとテレビ電話し、ある人は文書を記しながら仕事をし・・という具合です。

デバイスは、利便性を考えると、一般新聞紙サイズよりも、夕刊紙サイズ(縦40・6センチ、横27・3センチ)のほうが妥当だと思われます(ページを開くと横幅は54・6センチになる)。これだと、夕刊紙のように真ん中を折りたためばA4サイズよりもやや小さめになり、ビジネスバックなどに余裕で収納することが可能です。



モバイルタイプの画面は1315センチ・横20センチほしい

さて、電子ペーパーの標準的な規格として、上の「タブロイド版」のほかに「モバイルタイプ」がどうしても必要です。「タブロイド版」が新聞の表示に重点を置いたものなら、従来の「本」に比重を移したものが「モバイルタイプ」になります。

問題はどれくらいの画面を確保するのが妥当かということです。

(出典:(C) Daiichiinsatsu Co.,Ltd. 株式会社第一印刷)

ずばり、私は「文庫判」の、しかも「見開き」サイズを推奨します。

きっちりとした数字にすると、縦15センチ、横20センチの画面になります。このサイズはまた、欧米のペーパーバックを開いたサイズにも近似している。ちなみに、「インチ」はもはやローカル単位なので、今後は使うべきではありません。

ただ15センチというと、今使い慣れているスマホに比べて、やや長め。だから文庫の上下にあるページの余白を少し削る意味で、縦13センチまでは検討範囲かと。

これはかなり以前の記事でも言及したことがあります。

時代はスマホからスクホへ!?
iPhoneが登場してから6年が過ぎた。最近では売上も伸び悩み、かつての熱狂の度合いも冷めつつある。時代はそろそろ次へと行きたがっているようだ。 2010年05月、ソニーは「ペンほどの太さに巻き取れる有機ELディスプレイを開発した」と...

たいていの本は文庫化されているので、ソフトは無尽蔵です。

ただ、このサイズにこだわる訳はむしろマンガなんですね。マンガのコマ割りはページをまたぎます。「見開き」をドンと使ったシーンも少なくありません。それを半々表示で切断してしまうことは、作品のオリジナリティを損なうことになります。マンガは今や世界中の人々が楽しんでいるソフトである現実を考慮しなければなりません。

(電子ペーパー装置の裏の「XXX」はフィルム画面の支持具です)

大幅に縮小する紙出版市場

このような電子ペーパーと電子マネーの本格実用化により、新聞と本の値段は、今より大幅に安くなるでしょう。

その代わり、当然、新聞紙を卸していた紙屋さんは割りを食います。また、印刷・配送部門は不要になり、新聞販売店などは全滅の運命を辿ることになります。

働いている人も多いので、私もあまりズケズケと指摘したくはないのですが・・。

新聞社は斜陽産業のようでいて、時代の変化に適応して「記者集団」に特化すれば、意外と高収益企業になるかもしれません。言うまでもなく、記事を書く人材だけを残すということは、それ以外の部門をすべてリストラするということでもあります。

出版に関していえば、「書店」「取次会社」「印刷・製本代」「写植・製版代」「紙代」等が不要になることで、コストの6割が削減可能です。出版社も営業や宣伝広告部門を廃して、ほとんど編集実務集団に特化しなければ生き残れないでしょう。

現在、本の印税の取り分は、著者が1割で、出版社が3~4割です。これがアマゾンのKindle電子出版DMMのデジタル販売だと、著者側の取り分は7、8割になります。おそらく、これくらいが電子出版のスタンダードではないかと思います。

当然、クリエイター自らサイトを運営して、電子マネーを利用した販売・集金まで行うことは可能です。ただ、編集者がいないとアマチュアリズムが横行するので、最低限の関与をしてもらったほうが品質保証になり、消費者的・市場的にも好ましい。

また、1円や2円の電子マネーで新聞の「記事単位買い」ができるように、本に関しても同様に「章」や「項目」ごとのバラ買いも可能になると思います。

というわけで、紙の新聞や本は滅んでしまうのでしょうか?

新聞はともかく、本には「モノ」としての価値もあります。よって、ややマニアックな商品として生き残ると思います。ただ、市場は大幅に縮小するので、ビジネスが成り立つ出版社の数も大幅に減るでしょう。

*上記のイラスト類の引用転載はご自由に。私に断る必要もありません。