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「半無条件降伏」した北朝鮮と金正恩がこれからが迎える地獄

さて、歴史的な米朝首脳会談から一夜明けました。

会談後としては初の記事。

フタを開けてみれば、首脳会談は共同声明レベルの前座に終わったようだ。これから実務者レベルに落とし込んでいくと思われるが、のちのちトラブルでしょう。

北朝鮮はこれまでも合意まではやってきた。そして、見返りをゲットしてから、いきなり核査察を拒み、合意をひるがえす、ということを繰り返してきた。

今回も国際情勢を注視しながら、そのタイミングを狙っているかもしれない。



北朝鮮が得た猶予は実質1年未満と思われる

今回、とりあえず北朝鮮は「完全非核化に合意した」ということになっています。

そして、会談後のポンペオ国務長官の話によると、やはり「一挙」非核化に関してはアメリカのほうが譲歩したらしく、トランプの大統領任期が終わる2021年1月までに「主たる非核化」措置を終えればいい、ということで決着したようだ。

つまり、北朝鮮は2年半以内にほぼプロセスを完了しなければならない。

よって、非核化の中でも最優先事項である「核兵器・核弾頭・核物質の正直な申告と差し出し」は、それこそ年内又1年以内に行うことを要求されるでしょう。一見、2年半の猶予をゲットしたようですが、核心部分でいえば1年未満の猶予のはず。

なにしろ、実務レベルになると、今度はボルトン安全保障担当補佐官の出番になってくる。彼は今回の首脳会談に同席して、しっかり監視の目を光らせていました。

「さあ、差し出せ」と、ボルトンが要求を始めて、北朝鮮がいつそれに応えるか、彼の忍耐がいつまで続くか、という問題です。

北朝鮮側の完敗といっていい米朝のディール

繰り返すと、北朝鮮は今回、アメリカの軍事的圧力下で、一方的に武装解除されることが決まった、そういう方向に大筋同意させられた、というのが事の本質。

トランプ政権は、北が非核化しない限り、現状の経済制裁は続けると言っている。

しかし、北朝鮮にとって、核・ミサイルなどの大量破壊兵器の体系(現物・核施設・技術者・製造工場等)は、祖父の代から30年にわたり築き上げた国家資産

金正恩は、その国家の総力を挙げて開発してきたものを根こそぎ破棄させられ、しかも再開発できないように核関連施設の破壊・大量の技術者の移住などの不可逆的措置まで強いられる。それを実行するのが米軍護衛の「核査察」チーム。

核査察を認めるとは、彼らが好き勝手に各地の軍事機密にアクセスし、資料を押収し、施設を爆破して回る事態を、指をくわえて眺めている、ということでもあります。

対して、アメリカとしては、莫大な金銭的な見返りは与えないと言う。トランプは「日中韓がやるんじゃないか」と他人事のように言っている。

一般に欧米は過去の契約をうやむやにしない。アメリカ的には、十年以上前の6カ国協議時代の契約とその時に与えた見返りが、未だに生きているのかもしれない。こっちはすでに約束を果たしたから、今度はそっちが果たす番だ、というわけです。

では、北朝鮮が得る具体的な対価は何なのか?

トランプは会談後の記者会見で、近いうちに朝鮮戦争が終わるという意味のことを言っていた。とすると、朝鮮戦争は休戦から「終戦・平和条約」へと格上げになる。

そこから米朝国交正常化、米朝不可侵条約(体制保証)、在韓米軍撤退(トランプは当面現状維持と言っているが・・)、経済制裁の解除というふうに続く感じでしょうか。

いずれにしても、釣り合う見返りじゃない。ただ、国家としてはそうでも、今回の会談でトランプ側が「おまえたちが国を売ったら、一族の命の保証はしてやろう」というふうに囁いたとしたら、独裁者としては十分メリットがあるのかもしれない。

まあ、これは皮肉ですが。

空約束する以外になかった北朝鮮の今後

というわけで、今回の米朝交渉は、北朝鮮側の無条件降伏とまでは言わないが、「半無条件降伏」くらいは言ってもいいんじゃないでしょうか。

ま、アメリカが突きつけたハルノートを飲んだ、ということでしょう。

巷間には「米朝が従来の敵対関係を解消して友好的な関係の樹立へと舵を切った。これで朝鮮半島に平和がもたらされる」と、感動している人たちもいる。

美談だと信じるのは個人の勝手ですが、戦いなき降伏・無血開城の合意の類いを指して「米朝の和解」とか「平和」と呼ぶなら、たしかにそうかもしれない。

しかし、それは北朝鮮側が負けたという情けない実態を隠すものでしかない。

さらに言うなら、これは二重に表面的な見方でしょう。

何度も言っていますが、北朝鮮はどうせ完全非核化なんか実行しないし、政治的にもできない。つまり、空約束。しばらくすると、必ずトラブルになる。

金正恩は今回、本気でアメリカが攻撃してくると恐怖したらしい。だから、首脳会談のテーブルについて、とにかく核放棄を約束する以外に道はなかった。

しかし、空約束したものの、これから遵守を判断する審査官はボルトン

金正恩にとって、むしろこれからが地獄でしょう。

まあ、自業自得です。早くに拉致被害者を帰して謝罪しておけば、一方的に核放棄を飲まされる事態に対して、日本の中にも少しは同情する空気もあったでしょう。

現状は内部矛盾を抱えた状態です。北朝鮮がごまかし切れなくなった時、それは破裂する。いつか分からないが、予定調和(?)的にそうなります。

その時、一転して、戦争です。

『「半無条件降伏」した北朝鮮と金正恩がこれからが迎える地獄』へのコメント

  1. 名前:ちょっぱ 投稿日:2018/06/15(金) 00:16:59 ID:6f24c477e 返信

    >そして、会談後のポンペオ国務長官の話によると、やはり「一挙」非核化に関してはアメリカのほうが譲歩したらしく、

    ここの「一挙」というのは「一応」の誤字なんでしょうか?
    「一応」であると意味が通るので。

    今回の会談はいろいろな人がいろいろ言っていますが、
    いずれにせよ、山田さんの言われる「のちのちトラブル」というのは十分ありえると思います。
    今後の展開に注視が必要ですね。