みなさん、こんにちは。
北朝鮮情勢が緊迫していますね。
報道によると、ほんの数日前から、山口県岩国の在日米軍基地に配備されたばかりの最新鋭ステルス戦闘機F-35Bが、北朝鮮と隣接する韓国北東部・江原道の演習場で、初の「精密爆撃訓練」を実施しているそうです。対北攻撃の予行演習ですね。
(垂直着陸は何度見ても凄いですね。1分あたり。あと岩国基地の様子もよく分かる)
アメリカがシリアに海兵隊を派遣
ところで、北朝鮮情勢の影に隠れている格好ですが、平行して、中東・ウクライナでも着々と事態が進行しています。ちょっと気になった出来事を列挙しておきます。
まずこれ(太字傍線筆者、以下同)。
http://www.bbc.com/japanese/39227534
米、海兵隊兵士ら400人をシリアに追加派遣、ラッカ奪還に向け 2017年03月10日
米国は9日までに、海兵隊兵士ら400人をシリアに追加派遣した。過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)の主要拠点、同国北部の都市ラッカの奪還を目指している。米国はすでに特殊部隊をシリアに派遣しており、海兵隊兵士らは過去数日内に到着した。(略)
ラッカ攻撃に先立ち、レックス・ティラーソン米国務長官が有志連合の参加国の会議を主催する予定となっている。国務省によると、68の国と国際機関が今月22日にワシントンで外相級の会議を開く。国務省のマーク・トナー報道官代行は、「ティラーソン長官は、ISIS(ISの別称)打倒が中東での最優先事だと明確にしてきた」と述べた。
米紙ワシントン・ポストによると、海兵隊の砲兵部隊は半径32キロの地域を155ミリ砲で攻撃できる野砲を装備している。
有志連合の報道官を務めるジョン・ドリアン大佐はロイター通信に対し、今回派遣された部隊がラッカのISを「早期に打ち負かす」助けになると語った。(略)
ウィキペディアでは、海兵隊(英: Marine)のことを「陸戦兵器の取り扱いを専門とした将兵によって構成された、海上勤務のための軍事組織。所属や規模、任務は国或や時代によって異なる。」と記しています。
朝日新聞掲載「キーワード」では「洋上からの上陸作戦を主任務とする部隊。米海兵隊の場合は、地上部隊や航空部隊などから編成され、戦車や装甲車、ヘリなど陸軍と同様の装備を持っている。」と記しています。
各国によって定義や任務が微妙に違うみたいですが、だいたい海洋から敵地に上陸して乗り込んでいくときに先鞭をつける部隊といった意味でしょうか。海軍と連携して作戦を遂行するので、純粋な陸軍とはまた違うようです。言うまでもないですが、その代表的存在がアメリカ海兵隊(U. S. Marine Corps)ですね。
つまりは、トランプ政権は「対IS包囲・壊滅」を軍事作戦の最優先に掲げていましたが、どうやらその方針に着手したといったところでしょうか。
シリア内戦開始以降、イスラエルとシリアの2国間で最も深刻な事態発生
次にこれ。
http://www.afpbb.com/articles/-/3121850
イスラエル軍戦闘機がシリア攻撃、標的はヒズボラか 2017年03月17日
【3月17日 AFP】現地報道などによると17日未明、イスラエル軍の戦闘機がシリア国内の複数の目標に攻撃を加え、シリア側も地対空ミサイルで応戦した模様だ。6年前のシリア内戦開始以降、イスラエルとシリアの2国間で最も深刻な事態の発生といえる。
(略)イスラエル国内および海外メディアは共に、シリア国内での標的はレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)の武器輸送部隊だったと報じている。イスラエルと2006年のレバノン侵攻で交戦したヒズボラは現在、シリア政府軍の側に立って戦っている。
国営シリアは、イスラエル軍機1機を撃墜し、もう1機にも被害を与え、残りの編隊を駆逐したと発表していますが、イスラエル側軍報道官は否定しています。
これはシリア領内の出来事ですが、実質、ヒズボラに対する攻撃と考えてよさそうです。現在、イランとヒズボラは同じシーア派であるシリア政府軍を支援しています。イランは公式に自国軍を派遣し、レバノンは非公式にヒズボラ兵士を送っています。
だから、シリア内戦は、「米・イスラエル・シリア反政府軍」対「シリア政府軍・ヒズボラ・イラン・ロシア」の図式でもあるんですね。大国の代理戦争ともいえる。
で、ISというのは、第三勢力というより、サウジアラビアのワッハーブ派などのスンニ派原理主義者が、前者側に協力している傭兵の面が強いようです。もっとも、プーチン大統領は、こういう工作は、アフガンのサイクロン作戦の時のムジャヒディンと同じで、いずれ西側の情報機関もコントロール不能になると警告していますが・・。
ともあれ、シリアに米海兵隊が乗り込み、またシリアとイスラエルの間でも部分的に戦端が開かれた。私はこれから両国の本格介入へと繋がっていく気がします。
なぜウクライナで紛争が再燃するのか?
すると、米・イスラエルにとって一番邪魔なのは、シリアに介入し、停戦を主導しているロシアの存在ですね。ロシアの中東介入を撹乱する方法として手っ取り早いのは、ウクライナ紛争を再燃させ、そこに同国の外交・軍事を釘付けにすることです。
しかも、このことは、イスラエルのネタニヤフ政権が見据えている、近未来の対イラン戦にも当てはまる。打倒イランに燃えるイスラエルとしては、なんとしてもロシアのイラン支援を細らせたい。すると、最近、こんな動きが始まった(以下記事)。
2017年に入るや、ウクライナがNATO加盟へ向けた動きを始めました。また、ウクライナ東部で紛争が再燃し始めた様子です。ポロシェンコ大統領というのは、2014年の「革命」で、米国務省のヌランドや、ジョージ・ソロスが担ぎ上げた存在です。
だから、シリア内戦や、将来のイスラエル・イラン戦に、ウクライナ情勢は深く関わっている。そしてつい最近、こんな出来事が起きました。
http://www.afpbb.com/articles/-/3122536
ウクライナで弾薬庫爆発、2万人避難 「破壊工作」と軍 2017年03月24日
【3月24日 AFP】ウクライナ東部バラクリヤ(Balakliya)にある弾薬庫で23日未明、複数の爆発と大規模な火災が起きた。軍は「破壊工作」が出火原因という見方を示している。
現場の倉庫にはミサイルや弾薬が保管されていた。23日午後の時点で、半径10キロ以内に暮らす住民2万人が避難。現場では火災が続いており、当局は鎮火に最長1週間かかる恐れもあるとしている。
バラクリヤは、親ロシア派が拠点とするドネツク(Donetsk)から約100キロ離れた場所にある。軍当局は、爆発が始まる前、ドローン(小型無人機)が飛んでいるような音がしていたという複数の証言があることを明らかにした。(略)
映像を見る限り、かなり大規模な爆発ですね。しかも、私の目には、一箇所だけでなく、やや離れた複数個所で発生しているようにも見えます。
(Big explosion in the Ukraine – Happening now)
(Eliveleakのほうは空撮です→xplosions in Balakleya – Footage from Drone)
弾薬庫というのは、一番厳重に火気を管理しているところですから、滅多に過失で「出火」なんかしません。問題は、ロシア軍がやったのか、親ロシアの東部独立派がやったのか、それとも別の第三者か、ということです。いずれにしても、ウクライナ政府側は「絶対にロシア側の仕業だ」と思い込み、恨みを募らせるでしょう。
トランプ政権は先に中東戦争をやる?
というわけで、北朝鮮情勢が緊迫していますが、トランプ政権は施政方針演説でも「対IS戦」を最優先に掲げているので、もしかすると中東のほうが先かもしれない。
米軍としては、二正面作戦はしたくないので、どちらかが先になるはず。対北では、最新鋭戦闘機・爆撃機の訓練で牽制し、「寸止め」しておくつもりかもしれません。
仮に、今回の米韓合同軍事演習の本当の狙いが、北朝鮮に圧力をかけて時間稼ぎすることにあるとしたら、本命は中東の可能性もあります。
もっとも、言ったように、私は元から北朝鮮に核兵器を先制使用させるのが第二次朝鮮戦争の目論見の一つだと思っています。彼らに「先」に西側市民と米軍人・その家族を虐殺させれば、「北朝鮮の同盟国」であるイランを遠慮なく叩く大義名分が立つ。
実に恐ろしい、異常ともいえる発想です。
だから、私は対北朝鮮戦のほうが中東より先に来ると予想していますが・・・。
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