実に白々しいことに、トランプ大統領やボルトン補佐官は「イランとの戦争は決して望んでいない」などと声明している。
米の御用メディアや学者も「イランと交渉するのが狙い」とか何とか。
このような場合は逆に考えたほうがいい。
つまり、本音ではイランを挑発して戦争に引きずり込むことが狙いであり、それをカモフラージュしたい心理がこのような言動となって顕れているのだと。
先日、NYTが報じたところによると、「イランが米軍を攻撃したり、核開発を加速させたりした」場合には、最大12万の米軍を派遣する案が、制服組トップのダンフォード将軍から示されているという。ボルトンらの指示によって策定された計画らしい。
イラン軍でなくとも、ヒズボラやフーシ派がテロ攻撃でもぶちかませばイランがやったと見なすらしいので、どうやら開戦の口実が欲しくてウズウズしているようだ。
「9・11自作自演テロ」みたく、またしても“都合よく”アメリカ国内でイスラム原理主義者による大規模テロでも起こりそうな気がしてならないのだが・・。
私はこれまで米軍の攻撃対象として「北朝鮮が先で、イランがその次」と述べてきたが、どうやら予測の誤りを認めざるをえないようだ。
大きな理由は、北朝鮮が真珠湾攻撃前の日本とは「異なる選択」を取ったことだ。
以下はちょうど2年前の記事。
ちょうどこの頃、北朝鮮は、アメリカから、完全非核化か、さもなくば米軍による軍事行動か、という二者択一を迫られた。
何度も言っているように、完全非核化は「全面的に国を明け渡す」のと同じ。
仮に「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」を実行するとしたら、30年にわたる投資を無にした上、国内の軍事機密をすべて丸裸にしなければならない。
つまり、これは「対北版ハルノート」である。
戦前の日本帝国指導部の場合、「ハルノート」の内容を見て、対米交渉の価値なしと判断し、開戦へと舵を切った。それくらい外交的に非常識な対日要求だった。
しかし、北朝鮮はいったんこの「ハルノート」を“飲んだ”(=飲むフリをした)。
つまり、「なら非核化しましょう」と“約束”したのだ。
むろん、最初から騙すつもりだから「空約束」ではある。
だが、トランプ政権としては、相手がそう言う以上は、事前の公約通り、米朝首脳会談を開催しないわけにはいかない。
要するに、ここが戦前の日本帝国と、今の北朝鮮との違いである。
だから、日本は「ハルノート」を突きつけられた瞬間に暴発したが、北朝鮮は曲がりなりにも「交渉」を継続する形になって、現在に至っている。
しかし、北朝鮮には「経済制裁」という負荷が掛かり続けているので、無限に交渉が続くことはなく、近いうちに「何らか」の終幕を見ることになりそうだ。
しかも、今度は反米に転じた中国と歩調を合わせることになるだろう。
これは「航行の自由作戦」でアメリカから散々“挑発”を受けている中国にも当てはまることだが、北朝鮮はなんだかんだと言って絶対に自分から最初の一発を撃とうとしない。弾道ミサイルの発射実験をやるだけで、米爆撃機や偵察機に発砲しない。
中国も南シナ海で驚異的な忍耐力を発揮している。人工島を“領海侵犯”をされようが、爆撃機を飛ばされようが、自分から最初の一発を撃つことは自制している。
アメリカの戦争屋も失望して、又彼ら自身のタイムスケジュールもあって、どうやらイランに矛先を変えたらしい。今度はイラン自身でなくとも傘下のテロ組織がやればと、ハードルを下げたから、イランがいかに自制したところで「最初の一発」は起きよう。
で、またぞろ「リメンバーXXXX」である。もううんざりである。
ワンパンマンならぬ「ワンパターンマン」それがアメリカである。
今回はこれまでの中東戦争とは違い、サウジが本格的に巻き込まれる(参戦する?)格好になりそうだから、石油を中東に一極依存するわが国も他人事ではない。
きっと蜂の巣を突付いたような騒動になると予告しておく。
スポンサーリンク