スポンサーリンク

アメリカは最初から“外交的解決”なんかする気はない

2017.6.21にワシントンで開催された米中の外交・安全保障対話。議題は主として北朝鮮問題。左からティラーソン、マティス、ダンフォード。出典:Reuters

アメリカが北朝鮮への石油禁輸に躍起になっている理由は、旧日本軍を暴発させた成功体験を再現しようと目論んでいるからではないか。

今回、圧力を受けた中国が、いわばそれ以外の制裁措置をすべてオーケーすることで、なんとかその措置だけは回避する格好になった。

ただし今後、この制裁措置が実行された場合、北朝鮮が破滅を覚悟の上での先制攻撃へと踏み切る可能性があるので、引き続き注視していく必要がある・・・。

前回の記事はそういう内容でした。

当記事は前回の「続き」や「前後」ではなく、「ツイン」の関係にあります。



“外交的解決”にこだわるティラーソンとマティス、それを受け売りするメディアと知識人

さて、北朝鮮問題でティラーソン国務長官とマティス国防長官がやたらと「穏健発言」を繰り返しているのは周知の通り。最近も次のように発言しています。

ティラーソン国務長官の発言

「米国は(北朝鮮の)政権交代を目指さず、政権崩壊も求めない」(2017.8.1)

「われわれは引き続き、対話への道を探ることに関心を持っているが、これは金氏次第だ」(2017.8.15)

マティス国防長官の発言

「米国務省は外交手段を通じ、この世界的脅威を解決するあらゆる努力をしている」(2017.8.9)

戦争は「破滅的」な結末になると指摘。「米国の取り組みは外交が主導し、外交面で結果を生んでいる」(2017.8.10)

こういった発言を真に受けて、メディアや専門家はいつも次のように言う。

  • アメリカは本音では戦争したくない。あくまで平和的解決の道を探っている。
  • だから米国務長官も米国防長官も、ずっと非軍事での解決を目指している。
  • 挑発行為を続ける北朝鮮に対して軍事力行使もありえると示唆するのは、あくまで強く警告するためで、アメリカ的にはできる限り外交で問題を解決したい。
  • 戦争になったら朝鮮半島で大量の死者が出る。彼らはそれを強く懸念している。
  • なにしろ、1994年の第一次核危機もそれが理由で回避した。

だいたい、こんなところかと思います。

ちなみに、第一次核危機というのは、クリントン政権時代、秘密裏に核開発する北朝鮮に対する空爆寸前までいった出来事のことです。当時のペンタゴンは、全面戦争になると、米軍約5万、韓国軍約50万、民間人100万以上の犠牲者が出ると試算。その犠牲を憂慮して、大統領は攻撃を断念した・・という公式史になっています。

私はこの説明を全然信じていませんが、それはともかく、カーター元大統領が特使として金日成とトップ会談し、北朝鮮が核開発を断念する見返りとして、軽水炉・重油供与などのエネルギー支援を与えるとする「米朝枠組み合意」へと繋がりました。

クリントンとカーターが本当はどういう人は以下の記事に書いています。

さて、クリントン夫妻に共通していることとして、ロックフェラーと出会ったという以外にも、「ジミー・カーター」Jimmy Carterとの密接な関係が挙げられます。クリントンの前任のパペットだったジミー・カーターカーターさんといえば、レーガ

現在と1994年時の第一次朝鮮半島核危機の時とはまったく状況が異なる

でも結局、北朝鮮はアメリカを騙して、秘密の核開発を続けていたんですね。で、ブッシュJ政権の時も、似たようなペテンをやっている。

だから、北朝鮮との“対話”なんかやるだけ無駄だと分かりきっている。

いずれにしても、この94年時の第一次核危機の公式史から、メディアや専門家ほど、「戦争になれば大量の犠牲者が出るから、アメリカは今回も外交で解決したいに違いない」というふうに思い込むわけです。私は、それは単に偽りの説明(公式史)から偏見を強化されているに過ぎないと見なします。私の考えは大勢とは反対です。

そもそも、当時と今とでは「危機の質」が全然違います。

アメリカとイスラエルにとって、もはや「自国の安全保障問題」なんです。

おそらく、ただ核ミサイルを作るだけなら、これほど敵視されなかっただろう。問題は北朝鮮が反米・反シオニズム国家と地下で連携していることです。そこが、核と弾道ミサイルの拡散に関して一定のケジメを持っている中ロとの違いです。

北朝鮮は外貨獲得のためにセールスする気まんまんです。そうなると、アメリカとイスラエルは完全にリスクがコントロールできなくなる。それが真の問題なんです。

つまり、彼らからしたら、もはや自分が危ないという話なのに、なんでアジア人の犠牲者が出る出ないという理由からそれを止めなければならないわけですか。

「ポリティカル・コレクトネス」から、表向きそれに配慮しなければならない、というだけの話です。自分の命かわいさに他人を犠牲にするのかと指差されたら困るわけです。だから本音を隠している。94年時の朝鮮半島危機とは全然違うんです。

今から“戦後”の国際世論対策をしているアメリカ

だいたい、ティラーソン国務長官もマティス国防長官も、これまで外交的手段による解決を主張してきたといいますが、そんなことは当たり前じゃないですか。

米国務長官は外交が仕事だから、そう主張するのは当然。

一方、軍のトップもまた、安易に武力行使を主張することができない。軍人だからといって、「よっしゃー、核兵器で皆殺しにしてやるぞ」と言えますか?

トランプ大統領やヘイリー国連大使の主張との違いを指して、足並みの乱れとか、政権内の温度差があるとか思う人もいるようですが、こういうのは役割分担。

前も言いましたが、これは全世界を欺くための演技なんです。

「アメリカさんはできる限り外交で問題を解決しようとしている。やはり本音では犠牲者を出したくないのだ。あくまで平和的解決の道を模索しているんだ」

と、思わせようとしているということです。

だから、本当そう思っている人がいるとしたら、まんまと騙されているということです。だいたいねえ、歴代の米国務長官なんて「影の政府」の代理人ですからね。

みなさん、善良すぎるんですね。同じ悪党の私だと、すぐにピンとくる。

彼らはブッシュ政権の失敗によく学んでいる。私はこう記しました。

マティス国防長官の発言の裏を読む【第二次朝鮮戦争】
つい先日、ジェームズ・マティス氏がこんな発言をしました(傍線太字等筆者)。 北朝鮮は「最も喫緊で危険な脅威」 “狂犬”マティス氏が予言「力の均衡、列強競争の時代に」2017.6.13 (前略)世界の安全保障環境に関して証言した。 ...

(前略)マティスは朝鮮半島で「見たこともないような極めて深刻な戦争」や「信じられない規模での悲劇」が実際に起きることを、最初から分かっている。

しかも、核戦争になる。北朝鮮は核兵器を使用し、それに対してアメリカもまた核兵器を使用する。一部では広島・長崎を思わせる惨状になる。

当然、全世界が震撼する。そして、その惨状を見て、誰もがこう口々に言うだろう。

「なんでこんなことになってしまったのか?」

「戦争になる道は避けられなかったのか?」

「このような悲劇を食い止める方法はなかったのか?」

とくに戦後になると、急に勇敢になって、責任追及に血筋を挙げるものが沸いてくる。ロシアなどはここぞとばかり“加害者”の米軍とアメリカを叩こうとするだろう。

アメリカが本当に恐れているのは、この“被告席”ではないでしょうか。

つまり、今の時点で、戦後の国際世論に神経を尖らせている。すでにそこまで見据えて、自国が国際社会の非難の的にならないよう布石を打っている。

だから、慎重の上にも慎重を重ねて、政治的な条件を整えることに尽力している。

そう、これは「戦後」エクスキューズのためなんです。

つまり、「失敗したら軍事的な選択肢を取らざるをえない」と説明していますが、最初から外交的解決に失敗する予定でいるということです。

出口王仁三郎(でぐちおにさぶろう)という人物をご存知でしょうか。彼は日本の「公式な」近代史からは、ほとんど黙殺されている人物です。真の大人物にありがちなことですが、彼に関しては相反する評価、つまり毀誉褒貶が激しい。通常のモノサシでは計りきる