患者を退行催眠させて前世を追体験させることによって現在のトラウマなどを癒す治療法のことを『前世療法』といいます。
この分野で世界的権威なのがブライアン・ワイス博士です。
ワイス博士は(邦題)『前世療法』(PHP)という著作を記されています。
といっても、私も今まで博士の存在は知りませんでした。数ヶ月前にある人から教えていただいたばかりです。彼がこの本で主張していることは、古い仏教やヒンドゥ教の経典に書かれていることと本質的には同じであり、私にとってはすでに既知の内容でした。その真理が西洋近代社会におって“再発見”“再認識”されている点は興味深い。
前世とか輪廻などが依然として信じられない人にとっては、入り口として格好の書物だと思います。なにしろワイス博士自身も元はバリバリの唯物科学者でしたから。
レイシズムはなぜ無意味で馬鹿げているのか?
ところで、そのワイス博士の治療例にはとても興味深いものがある。
たとえば、あるアメリカ人の建設会社のオーナーの例です。
彼の過去世は、石器時代の男、モンゴルの戦士、中世の宿屋の主人、脚を折った女の奴隷、日本人の同性愛者、国のために死んだフランス人青年、などでした。
彼はそれぞれの過去世において、最後の死ぬ場面をちゃんと思い出している。
そして、「今」はアメリカ人の男性をやっている。
過去世において、人種は白人・アジア人・黒人とまちまちです。民族も様々です。性別も男、女、そして性別ではないが同性愛者だった時もある。
また、別の治療例では、アラブ人を憎んでいるユダヤ人女性の例が登場します。彼女の前世を探ってみたところ、なんとユダヤ人を憎むSSのメンバーでした!
このように、レイシズムというのは、しばしば滑稽ですらある。
霊的英知の観点から見れば、ある人種や民族を指して差別する行為は、まさに過去又は未来の自分自身を嘲笑する行為に他ならないのです。
サイババさんなどは、その時々の人生は「舞台の俳優と同じ。ただ単に役柄を演じているだけ」とまでおっしゃっています。「女子校の劇」とまで言い切っています。つまり、根本的には性別すらも一時の「役柄」に過ぎないということです。
人間の本質をイメージすることは難しいですが、一つのたとえとして、「光の玉=魂」を想像することが有効かもしれません。それは何の外見も有しません。
現代の科学的教養のある人間だからこそ真理を純粋に扱える
こういった考えを依然として「オカルト」だと思って否定する人がいる。ワイス博士自身が自分はその典型だったと述懐しているのは、たいへん面白いです。
本当は、死後の世界も生まれ変わりも無いという考えこそ、外部から刷り込まれた偏見に過ぎません。江戸時代くらいまでは、先祖の霊を呼んでくれる霊媒師などは、どの村にもいたんですね。で、人々は仲介役を通して“普通に”その霊と対話していました。
現代において、こういった真実を、正統な西洋科学の素養を身につけたワイス博士たちが甦らせつつあるというのは、大変興味深く、また素晴らしいことでもあります。
実際、それが信じられてきた過去においても、やはり政治によって酷く歪められてきた経緯があるからです。たとえば、ヒンドゥ教はもともと万人に神性が宿っていると説いており、そういう意味で本質的平等を教えるものですが、奇妙なことに今日、インドは世界最悪の差別国家として知られています。
大半のインド人自身がヒンドゥ教の真髄を知らないことも理由ですが、やはり王族や高僧が特権擁護のために「マヌ法典」などの差別的な制度を設置継承した点も大きい。
西洋でも事情は類似しています。もともとキリスト教の母体となったと思われるエッセネ派では輪廻転生は当たり前の概念でしたが、ローマ帝国時代の宗教会議でそれを「異端」にしました。それで、その概念を引き継ぐカタリ派などは殲滅されたんですね。
どうやら、宗教“組織”になると、必ず真理を政治的に利用するようになるらしい。つまり、過去から延々と説かれてきた真理だから、過去の人々がそれを大切に扱い、人々の人間性向上のために正しく利用してきたかというと、そうでもないんですね。
だから、生まれついた宗教的背景を脱した、しかも科学的教養のある現代の高等教育者こそが、あの世と輪廻転生を信じて真面目に研究することが望ましいのです。
正規の教育における学部学科の一種として真剣に検討されるべき時期が来ています。
来るべき社会は、こういった霊的知識の復興なしには、到来しえないと思います。
(以下は『前世療法』を読んだその次として推薦!)
あと、ひっそりと、もっと危ない話も・・・
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