トランプの「金正恩ヨイショ」の謎を解く鍵は中東情勢にあり!?

外交・安全保障




みなさん、こんにちわ。

6月30日、史上初、トランプ大統領と金正恩が板門店で会いました。

突然会って、軍事境界線まで越えてみせる・・トランプはこういう「サプライズ・パフォーマンス」で世界を驚かせ、注目を浴びることが根っから好きみたいですね。

今回の「会談」は「会う」以上のものはなかったようです。ただし、両首脳個人にとって国家間問題の実質進展がなくとも、共に対内宣伝効果が大きいのは確か。

金正恩は国内での威光が高まり、トランプは世論にアピールできる。ゆくゆくは支持率や選挙にも有利に働く。だから両首脳にとって「会うだけ」でもメリットがある。

当の国家間の懸案に関しては、この1年間、何も進展していない。

6月12日は、あの米朝首脳会談からちょうど1周年に当たりました。

現在、北朝鮮に対するアメリカの非核化要求は当初から変わらず、北朝鮮は「我々の忍耐にも限界がある」と公式声明して、不満タラタラの様子です。

1年前の第1回米朝首脳会談を振り返ってみる
みなさん、こんにちわ。 2019年6月12日(水)で、 シンガポールでの第1回米朝首脳会談から、いよいよ1年になる。 北朝鮮のほうはすでにこんな談話を発表しています。 北「我々の忍耐にも限界」…共同声明ほごも示唆 6/5(水) 読売新聞オン...

ただし、両首脳が個人的に“仲良く”することで、北朝鮮側が決定的にテーブルを引っくり返すことができず、宙ぶらりん状態がこのまま続くように思われます。



なぜトランプ大統領はあそこまで金正恩をヨイショしてみせるのか、という謎

さて、私は今回のトランプの行動を見ていて、突然分かったというか、閃いたことがありました。それは一見、無関係に思える「イラン情勢」です。

シンガポール会談の1周年からすぐの6月20日、今度は、習近平が就任後初の訪朝を行いました。中国の国家主席が北朝鮮を公式訪問するのは実に14年ぶり。

両者は、米朝間の非核化や経済制裁に関して意見交換したようですが、注目されたのは、朝鮮戦争以来の中朝の「血の同盟」が再確認されたことです。

現在、共産中国はアメリカから体制丸ごと敵視され、経済・軍事・台湾問題・人権や民主主義等、全方向から圧力をかけられています。

よって、仮想敵国を共有する国同士として、中朝の再接近は当然予想されました。

しかしながら、当のトランプ政権の両国に対する姿勢には、大きな隔たりがある。

中国に対しては「価値観」を前面に押し出してクソミソにけなしているトランプ政権が、どうして北朝鮮に対しては同じ「価値観」を引っ込めてしまったのか。

いや、引っ込めるどころか、トランプは度々、「とても信頼している」とか「よい関係にある」などと、「金正恩LOVE」すらアピールしている。

本来ならありえない話です。トランプ政権は中国ウイグルの人権状況を非難しているが、北朝鮮は丸ごとウイグルみたいなものです。明らかな二重基準

なぜここまであの独裁者のボンボンをヨイショしてみせるのか?

なぜ平気で歯の浮くようなセリフを使って相手をおだててみせるのか?

何か裏があるのではないか?

この「謎」に対して、はっきりした回答を示した人はいなかったように思う。

私が今回「閃いた」のは、実はこのこと。

金正恩宣撫工作の正体は・・・?

「その必要性」があるから、計算づくでやっているのではないか。

そして、それは同じ6月に、実は誰の目にも明らかになっている。6月20日、米無人偵察機がイランによって撃墜された。両国はイランの領空内か領空外かで非難の応酬をしている。トランプはイラン攻撃を「実行直前で撤回した」と明かし、「これ以上のテロ支援を許さないぞ」と恫喝している。しかも、対イラン制裁を強化するだけでなく、「最高指導者ハメネイ師」個人を狙い撃ちして、新たな制裁をやるなどと発表した。

世界の誰が見ても、ハメネイ師よりも、金正恩のほうが悪いのだが・・。

どうやらアメリカはイランと戦争する腹積もりではないか。

ただ、その際、イランの潜在同盟国である北朝鮮までが連携して動くと厄介だ。

つまり、二正面作戦を避ける狙いで「イラン・北朝鮮分断策」をやっているのではないだろうか? そしてそれが「金正恩LOVE」の正体というわけです。

「ハメネイ憎し」と「金正恩LOVE」はコインの裏表なのです。

トランプ政権にとって幸いなことに、北朝鮮は金正恩個人の意志で動く独裁国家です。

だから国家としていかに価値観の相容れない異質な存在であっても、独裁者個人と「仲良く」することで、少なくとも米朝間の現状維持は可能になる。

今のところ、この「金正恩宣撫工作」はうまく行っている。金正恩は、世界一の超大国の指導者から3度も会談してもらい、おだてられて、気分を良くしている。

トランプ政権は、そうやってイランと北朝鮮を連携させないようにして、その間に「イランの代理勢力からテロ攻撃を受けた」などの口実で、開戦に持ち込むだろう。

トランプ政権はまた、この「対イラン戦」でイスラエルと連携している。

したがって、中東での軍事衝突また軍事行動の時期を推測する上で重要なのは、イスラエルの動向であり国内情勢と思われる。

今年5月、「反イラン」の急先鋒ネタニヤフ政権は総選挙に勝利したが、連立工作が難航して安定した新政権の発足ができず、再選挙が実施されることが決まった。

その再選挙の投開票日が今年9月17日

だから、戦争になるとしたらその後。

準備・補給を考えると、今年の冬から危ないと私は睨みます。

スポンサーリンク




タイトルとURLをコピーしました