送電の話

生活・雑学




みなさん、こんにちわ。

最近、台風などで、鉄塔が倒れた、電柱が倒れた、という話がやたらとニュースを賑わすようになりました。そのせいで千葉県では長期停電になりました。

先日、私は、関東で非常に鉄塔が多い埼玉県某所の視察に行ってきました。

こんなふうにやたらと鉄塔が林立している。

周りを見渡すと、360度、どこもかしこも鉄塔だらけでした。

場所によっては、こんなふうに架空線が交差していたりする。

まるで電気の蜘蛛の巣ですね。

で、全然関係ない話ですけど、ちょうどあちこちで稲刈りをしていて、その跡地に、サギの群れがいました。虫を食べに来ているのだと思います。ついでに。

こういった送電ケーブルというのは日本全国で50万km以上もある。

つまり、地球十数周分という送電線が、蜘蛛の巣のように日本列島に張りめぐらされているのが実情です。

ちなみに、鉄塔の数は24万基弱。

以下は、10年前の電気事業便覧から、当時、私が作成した表です。

ご覧のように、送電・変電・配電設備は、発電設備の倍の資産額。

一般に「電力会社」とか「電力設備」と聞くと発電所をイメージしますが、実際には生産した電力を届けるシステムのほうに、より多くのコストが掛かっているわけです。

ちなみに、送電線が上の写真のような「発電所―変電所」間のラインで、配電線が「変電所(変圧器)―各家庭・中小事業所」間のラインです。



家庭に電気が届くまでにそれぞれのポイントで電圧が下げられていく

下は電気事業連合会サイトから引用した送電システムの図式と説明文です。

各発電所でつくられた電気は27万5000V~50万Vという超高電圧に変電されて送電線に送り出されます。変電を繰り返して徐々に電圧を下げるのは、発熱による送電ロスを少なくするためです。(略)

各地に設けられた超高圧変電所で15万4000Vまで変電します。

その後、1次変電所で6万6000Vにまで下げられます。

6万6000V~15万4000Vに変電された電気は、一部が鉄道会社や大規模工場に送られて各企業内の変電設備で必要な電圧に落とされます。

残りは中間変電所に送られ、さらに低い2万2000Vに変電されます。

この段階でも、大規模工場やコンビナートに電気が供給されます。

2万2000Vに変電された電気は次に配電変電所へ送られ、6600Vに変電されて大規模なビルや中規模工場へ配電されます。また、この電圧(6600V)で街中の電線にも配電されます。6600Vになった電気は電柱の上にある柱上変圧器(トランス)で100Vまたは200Vに変圧され、引込線から各家庭へと送られます。

発電所で作った超高電圧の電気は、こんなふうに、

超高圧変電所→1次変電所→中間変電所→配電変電所→柱上変圧器の順に、少しずつ電圧を下げていくわけですね。

柱上変圧器というのは、あの電柱に乗っかっている丸っこい樽ですね。

出典:東京電力

これで6600Vが、われわれ一般消費者が使用する100Vないし200Vへと変圧される。

家庭での「電気の玄関口」にあたるのがブレーカーです。

出典:北海道電力

実際、玄関の上についてるケースが多い。

この「30アンペア」は電流の大きさです。

それに100ボルトをかけた「3000ワット」が容量になります。

電子レンジやオーブンなど、大きく電気を消費する製品には「W」数が表示されていることが多いです。500Wとか、800Wという具合に。

一般に電熱系はワット数が高い。

にもかかわらず、女性が集まってホームパーティをやると、平気でホットプレートを三つも四つも並べたりする(笑)。

意外と知られていないのは、私たちが使用した後の電気もまた弱りながらも電線を伝って元のところへ帰っていくことですね。

人体の指先の毛細血管では、動脈から血液がきて、静脈へ送り返していますが、一般家庭の電力消費もこれと似ています。

心臓というポンプが、人体における「血液の流れ」を作っている。

似たように、電力システムも発電所を「心臓」とする大きな「回路」を形成していて、一般家庭も末端としてその回路に含まれている感じでしょうか。

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