自動車が太陽で走る時代――やっぱりEVの勝ちでしょ

オピニオン・提言系
撮影:Takaaki Yamada




近年のモーターショーはEV・PHV一色と評しても過言ではありません。

思えば、十年前(だったかな?)に、幕張のモーターショーに行った時に、三菱のEVの試作車が展示されていました。

車が空中に浮いた展示で、インホイールモーターなどの技術が紹介されていました。

全然人気のないコーナーで、そこだけひっそりしていたのを覚えています。

他はカメラ小僧たちが車というよりコンパニオンを撮るのが目当てで、むせ返るような熱気だったんですが。その時の展示の写真は、ソニーのポンコツ・ノートパソコンが壊れた際に飛んだデータの中に含まれていて、永久に失われてしまいますた(笑)。

実は、私はその時に、直感的にEVの時代が来ると閃いたんですね。

三菱のアイミーブが発売される数年前だったと記憶しています。



未来はEVか、内燃自動車か? エネルギー問題とセットで考えるべし

さて、またまた理屈をこねますが、

自動車の未来を考える際には、 自動車単体の性能だけではなく、エネルギー問題とセットにした「全体のシステム」としてどうか、という視点が不可欠です。

換言すれば、長期的・鳥瞰的・戦略的にものを見て、考えることが求められます。

だから、EVの普及を考える場合、次の比較をする必要性がある。

「内燃自動車+石油インフラ」VS「電気自動車+電力インフラ」

これは私の持論です。現状のEV論議では、こういうモノの見方をする人がほとんどいない。いわゆる自動車の専門家とか、経済やビジネスの専門家ほど、虫眼鏡的にモノを見る傾向があります。「まず車を走らせるエネルギーはどこからどうやって来るのか」を考えないし、想像しない。近視眼的な専門家ほど、石油インフラや電力インフラについて何の知識もなく、自動車の性能や経済性の比較しかできない傾向があります。

そもそも、今のガソリン・軽油自動車は、巨大で複雑な石油供給システムあってのものです。「それは持続可能なのか」を考えねばなりません。日本は毎年2億キロリットルもの原油を中東から輸入しています。そんなことが永遠に続けられるのだろうか?

日本の運輸部門はほとんど石油という地下資源に一極依存している。シェール資源やバイオ燃料で代替できる国も、北米やブラジルなどごく恵まれた国だけです。

対して、EVならばどうか。エネルギー源は電力です。

そして、電力ならば、二次エネルギーであり、しかも元の一次は何でもいいメリットがあります。天然ガス・石炭、原子力、自然エネルギーなど、なんでもOK。

よくある誤解ですが、現在、石油は発電燃料としてはほとんど使われていません。石油火力を使っているのはOECD諸国の中では日本くらいのもので、しかも3・11後に原子力がごっそりと欠落したため、ピンチヒッターとして使用されているだけ。

とりわけ、私は原子力と自然エネルギーを自動車のエネルギー源にできるメリットが大きいと思う。とくに太陽光・風力だと、個産個消・地産地消の実現になる。

しかも、国産エネルギー化が可能です。中東に莫大な輸入費を支払わなくともいい。

長期的な視点でいうと、「EV+電力インフラ」のほうが持続可能です。

太陽光・風力エネルギーは、日本全国どこでも一定の割合で採れるし、コストもkwhあたり20円を切るまでになっています。それに数円上乗せするだけで充電器コストも回収可能になるので、まさに車が「太陽と風で走る時代」が到来するわけです。

ちなみに、ゴムやプラスチックも植物素材などから作ることができます。EVへ転換することにより、長期的には自動車産業の完全なる持続可能化の道が開けます。

・・とまあ、理屈っぽい話はこれくらいにしておきましょう。

以下、こういうのを見るとやっぱりEVの時代かな、という写真を貼っていきます。

これから車体ルーフ発電が当たり前になる

EVだと、エネルギーを「自家供給」(=個産個消)することも可能です。EVは太陽電池とは非常に相性がいい。これはソーラーカーレース時代からあったものです。

量産車としてはプリウスPHVが始めてだそうです。

プリウスPHVはバッテリー走行が68km可能のために十分EVですが、このルーフ発電だけでも最大で一日に6キロ走行分の電力を得られるそうです。

これは日照の最良の日ですから、通常はこの半分程度と考えてもいいかと。

ある意味、永遠に“燃料切れ”がないわけですね。

これからのEV・PHV時代では、このソーラールーフを使った充電システムはスタンダードになるのではないかと思います。

プリウスPHVに追随するモデルが登場しつつあります。

FORD C-MAX

Karma electric sports car

ちなみに、下は1992年のレースに出場した広島大学・中国電力の「追夢」(Hiroshima University and Chugoku Electric Power Company ENERGIA TEAM “OHM”)。

ご覧のように、レース用にしては、普通の乗用車に形が近い。

パネルはルーフ以外の部分に設置されています。これなら不恰好ではないので、市販車としてもいけそう(?)。ボンネットのパネルも結構シブいと思います。

ただ、以上はちょっとした程度の電力で、あまり期待はできません。

しかし、塗装型の「有機太陽電池」だと、話がちょっと違ってくるかもしれない。

すでに発明されていて、コストや耐久性の問題を抱えていますが、いずれこの技術を使った「フルボディ発電」の市販車が登場するかもしれません。

自宅の屋根やガレージルーフ、カーポートが走行エネルギーの供給源に

さて、自宅から石油が湧き出る人はそうそういないだろうが(油田のある新潟あたりにはいるらしい)、太陽エネルギーならば日本全国どこでも採れます。

今や、太陽光パネルで自家発電する家は、とくに新築では当たり前になってきました。

上のシステムでは、住宅側もまたEVを「外付け蓄電池」として利用できるので、双方にメリットがあるんですね。EVは別にリーフでなくてもいいですから(笑)。

むろん、ガレージやカーポート単独でパネルを設置する選択肢もあります。



駐車場の「太陽光発電所化」のすすめ

以上は自宅での話。

私たちは、出かけた先では、車をどこに止めるでしょうか?

むろん、駐車場ですね。

建物式でないタイプならば、駐車場もまた太陽光発電と非常に相性がいい。

なぜか? それは土地の二次利用で済むからです。しかも、自動車を雨や直射日光からさえぎるモノでもありますから、利用者からも喜ばれる。

さらに、駐車場にEVを停めに来る人が、そのまま充電の「お客」にもなります。

東京23区などは別として、一般的にいえば、ショッピング施設、公共施設、SA、病院、学校、ドライブインの飲食チェーン、レジャー施設などは、広い駐車場を持ちます。

そういった場所は、将来の太陽光発電所としてのポテンシャルが非常に高い。短い工期で写真のような架空式の太陽光パネルを設置できます。

土地代がいらないのは、大きなメリットです。パワコン・バッテリーなどを装備すれば、施設の自家発電用としても使えます。普通充電器も設置すれば、将来的に発電した電力を売るビジネスも可能になります。来客者相手に売ればいいのです。電子マネーによる無人販売ですから、「電気の自動販売機」を設置するに等しい。

EVが普及すれば、こういった電気の生産・販売ビジネスも必ず立ち上がるでしょう。そして、それがそのまま自動車の走行エネルギーの国産化の拡大に直結するわけです。

ちなみに、私は、ところどころに小型の風車も設置すればいいと思います。中国製の小型風車なんか滅茶苦茶安い。時には、質より値段と量も大事です!

ビルまで太陽電池まみれに・・職場でもどんどん普及が進んでいく

自宅や、出先だけでなく、職場にもあればいいですよね(上にあげた施設がすでに職場という人は別として)。とくにオフィスビルや工場

こういったところでも、太陽光発電の導入は可能だし、一部はどんどん進めている。

オフィスビルの場合、窓ガラスと太陽電池併用のものがすでに市販されています。ただし、高層ビルなら日照はいいですが、中低層ビルは場所を選ぶことも確かです。

というわけで、まとめます。

私は近い将来、内燃自動車ユーザーとEVユーザーの立場が逆転すると確信しています。すなわち、EVユーザーはどこへ行っても太陽光発電所と普通充電器に恵まれている。つまり、走行のための豊富なエネルギーと供給の機会に恵まれている。

対して、内燃自動車ユーザーは減る一方のGS探しにも苦労するようになる。地方の過疎地ではすでにGS難民まで生まれている。給油のための給油を強いられている。

しかも、EVは、国産の自然エネルギーで走る。部品も少なく省資源。

対して、内燃自動車は、高い外貨を支払って遠い中東から買い付けた有限な化石燃料を燃やしながら走る。エンジンの騒音があり、大気中に汚染物質を放出する。

勝負はついていると思います。だから、私は言っています。

将来がEVか、内燃自動車かは、「エネルギー問題とセットで考えべし」と。

スポンサーリンク




タイトルとURLをコピーしました