自衛隊を使った「臨時野外病院」で万一の医療崩壊を防げないか

オピニオン・提言系




人命に結びつく他の様々なリスクを勘案して総合的に判断すると、新型コロナウイルス感染拡大の「戦略的放置」が日本の答えではないかと、私は述べてきましたが、むろん患者の受け皿となる医療体制への傍観・無支援を意味しないことは言うまでもありません。あくまで個々の問題には柔軟かつ集中的に対処しなければなりません。

医療体制といえば、当初は(又は地域によっては今でも)感染の疑いのある救急患者の搬送先が決まらずに「たらい回し」されるという問題が発生していました。

これに対して、4月17日、あくまで東京都ですが、東京消防庁と都医師会は、感染の疑いのある急患は、専門外来で一元受付する方針で合意したそうです。

個人的には、こんな時のために高い国民健康保険料を支払っているわけで、いざという時にたらい回しされることには、やはり納得できません。



新型コロナ患者のための病床が各地で逼迫し始めている

ただ、感染症は隔離や防護の措置が必要になるので、一般病院の場合は、簡単には受け入れることができない設備的・経済的事情などもあるようです。しかも、それならともかく、中には「受け入れたら風評が立って他の患者が遠ざかる」という理由も・・。

そのせいか、今、現実問題として、新型コロナの感染患者のための「ベッド数」が逼迫し始めています。たとえば、報道によると、すでに病床の5割以上埋まっているのが19都道府県であり、うち5は8割超え・・という危険水準です。

しかも、日に数百人ずつ患者が増えている。このままではいずれ破綻する。

だから、幕張メッセを臨時病床にするとか、一般ホテルを軽症者用の病院にするなどの対策が急ピッチで進められています。

私は医療に関してまるっきり素人なので、重症患者・中症・軽症をどう区別し、どういう施設に振り分けるのがよいのか、皆目分かりません。

今、自宅療養者が急増し(千人超えているらしい)、うち数名が死亡したため、たちまち政治問題化してしまいました。これに対して、厚生労働省は、軽症者でも、基本的に自宅ではなく、病院又代わりの宿泊施設などを充てるべきとする方針を掲げました。

これで益々、関連の入院が急増し、病床が逼迫していくことは避けられないと予想されます。このままでは、欧米みたいに現役医師や看護師も感染し始めて倒れ、収容しきれない患者がベッド以外に寝かされる光景も現出してしまうのではないか・・。

おそらく、一部でも医療現場の崩壊現象が起きると、例によってマスコミが驚天動地の出来事のごとくセンセーショナルに取り上げるので、国民全体が心理的に恐慌状態へと追い立てられるかもしれません。これでまた経済も悪化する。マスコミ的には、パニックが起きたほうが、ニュース的に一層「面白い」のかもしれませんが・・・。

自衛隊の敷地に「臨時野外病院」を設置する策

以上の現実問題にどう対処するか。

私は対策に「自衛隊」を積極的に加えたらいいのではないかと思います。

具体的には、陸上自衛隊の駐屯地や分屯地、演習場・訓練場などの広大な敷地の一部を使って、新型コロナ専門の「臨時野外病院」を建てる。

また、衛生隊、自衛隊病院、化学隊など、自衛隊の現有リソースも活用する。

〈陸上自衛隊 職種紹介(衛生科)〉

今回のコロナウイルスとの戦いを“戦争”に例える向きも少なくありませんが、ならば自衛隊の出番があってもおかしくはない。

「衛生科はまだしも“化学科”とは?」という疑問もあるでしょうが、対BC兵器用の部隊であるといえば、意図はお分かりだと思います。ウイルスへの対応能力がある人員を利用しない手はない。彼らにしても、ちょうどいい実践訓練になるはず。

野外病院を建てられるだけの余剰スペースは十分にあると思います。

出典元の陸上自衛隊のサイトによると、「日本全国には約160カ所に及ぶ駐(分)屯地」があるとのことで、上図のように東京・首都圏に多いのも心強い。

むろん「有事に支障をきたさない」という条件付であることは言うまでもありません。そしてその条件ならば、なおのこと演習場・訓練場なら一部閉鎖しても構わないはず。

ちなみに、航空自衛隊も広大な基地を所有しています。

まあ、ジェット機の騒音と患者が隣り合わせでいいのかという問題がありますが、立川基地ならばもともと防災拠点でもあるし、離発着も抑えられて使えそうでもあるし、念のために以下貼っておきます(出典:航空自衛隊 中空エリア)

肝心な野外病院のイメージですが、素人と断った上で言わせていただくなら、

私は「1ベッド・1テント」が一番いいように思います。

スペースに余裕があれば、テントとテントの間には十分に空きを取る。

トイレは一日限りの使い捨てタイプを(テント内に?)設置。今の季節だと、ちょうどいい気温ですが、外気温が30度を超えてくると、スポットクーラーも追加する。

あんな密閉された病院内よりも、日光があり、風通しのいい野外のほうが、意外と清潔かもしれません。実際に日光がコロナウイルスを死滅させるらしいので、患者は日に何度か日光浴させる。テントもまくって風を通す。可能なら身体も動かす。

当然、高性能の焼却炉を併設する必要があります。使い捨てのものや不潔なものは、何でも燃やして灰にしてしまう。死体が出たら、それも燃やしてしまう。

死んだら骨にならないと出られないことを、入所者には了承してもらいます。

大事なことは、報道に対して、こういう現実をオープンにすること。

テント設備なら、感染が収束していくにつれ、順次解体していけます。

現在、精神的にも肉体的にも限界を迎えつつある現場の医療従事者にとって、自衛隊側の有資格者と化学隊員の応援は大変心強い話ではないかと思います。

ちなみに、私が感染患者だったら、この臨時野外病院のほうに入りたいですね。

政府の「新型コロナウイルス感染症対策本部」に検討していただきたい。

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