【超真相】なぜ田中角栄はロックフェラーに潰されたのか?【異説】

中国・アジア




一連のキッシンジャー記事のついでです。

大統領就任演説を見ても分かるように、トランプは国内問題ばかり語っています。彼の頭の中は「国内の見捨てられてきた人たち」に対する同情の念で溢れています。対して、外交政策では、典型的なアメリカ人らしく、善悪二元論的で単純です。

トランプの外交政策が固まったのは、昨年、キッシンジャーと接触して以降のようです。この戦略家が影の政府内の「修正派」だとすると、今後、トランプ政権が行うであろう対ユーラシア「オフショア・バランシング」政策も想像がついてきます。



中国を「封じ込め」から解放した張本人キッシンジャー

改めて過去のキッシンジャーの手腕を振り返りたいと思います。

フルシチョフの冷戦時代、中ソ両国はイデオロギー論争から対立へと至りました。1969年にはダマンスキー島での軍事衝突にまでエスカレートします。中ソ国境紛争の舞台は、かつて帝政ロシアが清から奪った沿海州との境でした。

1958年 このあと両者の中は険悪になる。

以前、当時に青春時代を送った中国人の話では、学校でひたすら「ロシアこそ敵だ」と教え込まれたそうです。歴史教科書の中でも、南京大虐殺なんか一行も登場しなかったそうです(笑)。どうやら、1978年の改訂版から登場したらしい。

その両国の関係悪化の隙をうまく突いたのがキッシンジャーだったんですね。

1971年、彼は訪中し、毛沢東・周恩来と相次いで会談。こうして地ならしした上で、72年2月、ニクソン訪中を演出し、米中国交回復を実現しました。

その後、日本も中国と関係を改善するよう、彼は促しました。今にして思えば、中国に対する莫大な経済技術支援を、日本にやらせるためだったのかもしれません。そんな底意があることは露とも知らず、同年9月、田中角栄首相が訪中し、中国と国交回復。当時の日本人は「日中友好」と「パンダフィーバー」に踊っていました。

いずれにしても、アメリカは、中国には大きな飴を与える一方、ソ連とは正面から対決しました。こんなふうに両者の扱いに極端な差をつけることで、中ソが関係を修復しないうちに、完全に両国を引き離したわけです。

かくして、キッシンジャーは中国を「封じ込め政策」から解放しました。ということは、その本人が45年ぶりに再び中国を封じ込めるということでしょうか。

誰も知らなかった田中角栄が潰された真の理由

さて、ここで裏話です。それは「なんで田中角栄がロックフェラーに潰されたのか」ということです。彼は日中国交回復の立役者ということになっていますが、言ったように、実際にはキッシンジャーの主導する戦略に乗っかっただけでした。

しかし、なんでアメリカの言う通りにしたのに、政治的に暗殺されたのか。一説によると、田中の猛烈な資源自立外交がロックフェラーの逆鱗に触れたそうです。

果たしてそうでしょうか。私はそれはサブ理由のような気がしています。

72年9月、日中国交回復・共同声明発表・・・その歴史的な瞬間の舞台裏には、実は驚くべき中国側、否、毛沢東個人の大戦略が秘められていました。

それが将来の「日中軍事同盟」であり「日中人種同盟」だったのです。

当時、日中間の平和と友好を夢想した人々にとっては卒倒しそうな内容です。しかし、毛沢東にとっては、日中の平和条約構想などというものは、軍事同盟の前の前菜に過ぎませんでした。彼は大変な『三国志』の愛読者でした。日中戦争時代には、その古典的な戦略をうまく生かして漁夫の利を得たといえます。彼は当時、日本と中国が同盟を結べば、米ソ二大勢力に対抗できる第三の勢力ができると構想したのです。

実際、日本の技術・資本と、中国の人口や国土のもつ潜在力が結びつけば、将来的に米ソをも凌駕するスーパーパワーの誕生となったかもしれません。

たしかに、キッシンジャーは天才戦略家でした。しかし、私は「日中が連合して『蜀』になろう」と構想した毛沢東は、それ以上の戦略家だったと思います。

もっとも、毛という人物は、権力ゲームに関してだけ天才であり、それ以外に関しては凡人並みか、以下でした。彼は政権を取るまでは戦略家ぶりを発揮しましたが、いざ取った後の執政となると、やること成すこと、無茶苦茶でした(笑)。

実はこれが影の政府の逆鱗に触れたのだ、というのが私の説です。しかも、おそらく日本側から情報が漏れたのでしょう。キッシンジャーたちの考えはこうでしょう。

「中ソは分断する、そのために中国には飴を与える、だから日本と中国が一定の仲になることは認める、しかし日中同盟など絶対に許さない」

毛沢東も徐々に毒を盛られたか、調べなおしてみる必要があるかもしれませんね。

しかし、この構想はまだ完全に歴史の闇に葬られたわけではありません。自民党には清和会と経世会という二大派閥があります。経世会のほうには、「いつ実現するかは分からないが日中同盟の芽だけは残しておこう」という考えが辛うじて残っています。

鳩山由紀夫氏の「東アジア共同体構想」も、その発展バージョンといえるでしょう。意外としたたかなのは、インドとオーストラリアも加えるとしていることです。

しかし、私個人はこういった考えを支持できません。物事には「機」がある。この構想はとっくに時機を逸した。何よりも共産党独裁体制はもはや中国人自身が望んでいない。そんな国と同盟しようなどという発想は常軌を逸している。鳩山氏がやはり戦略家として三流なのは、中国人の真の望みも知らずに観念だけで夢想していることです。

しかし、逆にいえば、「中国が民主国家になればその構想もありではないか」となる。つまり「自由中国の誕生」です。ならば、こちらから仕掛ければいいではないか・・・。

かつて明石元二郎がいました。今の日本の政治家は、保守であれ、左派であれ、近視眼という点では同じで、こういう戦略を描けないところに不幸があると思います。

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