逆神の擦り寄りは戦略の転換サイン! 日本は南シナ海でバック・パッシングを!

オピニオン・提言系




さて、これまで独自の仮説を二つ述べてきました。

一つは、今日の、中国の南シナ海での傍若無人な振る舞いは、2010年と12年の領海侵犯と官製反日暴動に対する当時の日本側の融和的な対応にもいくらかの原因があるということ。つまり、ヒトラーに対するチェンバレン外交と同様の過ちです。

もう一つは、その中国の増長を、実はアメリカがうまく利用していて、自国が大義名分を有する戦争に持ち込もうとしている可能性があるということ。

問題は以上を踏まえて、「ではこれから日本はどうすべきか」「どういう戦略が国益や安全保障に繋がるのか」ということでしょう。たしかに、以前は強硬な姿勢に出ることが中国の増長を阻止し、結果的に周辺地域の平和と戦争抑止に繋がったのではないかと思います。しかし、当時の対中融和政策が誤っていたからといって、これから強硬な対中姿勢に出るのが正しいのかというと、そうとは限らない。物事には何事も「機」があります。

強硬な姿勢に出ることが効果的な時機はすでに逸したと、私は思います。むしろ、南シナ海で米中が軍事衝突する危険性が現実味を増してきた今、ここは当該地域のトラブルからいったん距離を取って、利害関係率を引き下げたほうがいいような気がします。

朝日新聞という貴重な「逆神指標」

実は、これは「イヤーな予感」という、非論理的な直感が元になっています。

朝日新聞が、まだ玉虫色とはいえ、かなり強い調子で中国を批判する社説を載せたことは前回に触れました。ところで、朝日新聞といえば、歴史的に見て、常に日本の世論を誤導してきた存在です。

戦前は戦争を煽っていました。東条英機は、首相に指名されると、実はすぐに天皇の意を汲んで日米の関係改善を模索しました。ところが、その東条の自宅に「腰抜け!」などと叱責したり脅したりする一般市民からの手紙が山のように舞い込みました。開戦は決して指導者だけの独断ではなく、その背景には「英米何するものぞ」という当時の国民の「空気」もあったことは確かです。そして、そういう空気を醸成したのが当時の新聞でした。

朝日新聞は、戦後は一転して、共産主義国家や社会を賛美し始めました。たとえば、数千万とも言われる犠牲者を出した文化大革命を賞賛。後になってから今回のようにしれっと「江青ら四人組逮捕」などと書かざるをえなくなりましたが。

また、北朝鮮は「地上の楽園」であるかのように賛美。うっかり信じてしまった在日朝鮮人が帰国事業に参加し、地獄を見ました。極めつけは、済州島で女性を奴隷狩りして慰安婦にしたという吉田清治の嘘――私はそもそも吉田に嘘の証言をさせるという北朝鮮の工作だったと思いますが――を広めたことでしょう。「製造物責任」面を問うなら、朝日新聞こそ日本最悪の企業と言わざるをえません。

あの新聞だけでなく、あの国までもがこちら側に擦り寄り

もう一つは韓国の動きです。

ついこの前の7月、韓国国防省は、「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を在韓米軍に配備することを決定したと発表しました。すると、猛反発した中国側が韓国に対して様々な「お仕置き」を始めています。それがまた韓国のメディアと市民の反発を招き、同国は急速に反中・親米へと傾きつつあります。

実は、私が個人的に一番「うげー!」と思ったのがこれです。下の表は「Kの法則」といって、ネットでは昔から有名ですね。

戦争 勝ち 負け
白村江の戦い 日本+百済
タラス河畔の戦い イスラム帝国 唐(高句麗人将軍)
元寇 日本 元+高麗
明VS清 明+朝鮮
大東亜戦争 アメリカ 日本+朝鮮
ベトナム戦争 ベトナム アメリカ+韓国

ご覧のように、大唐帝国、モンゴル帝国、明帝国、日本帝国、アメリカなど、その時々の帝国が韓国と組んだばかりにことごとく討ち死にしています。

この法則からすると、朝鮮が北と南に分かれて、それぞれ中国とアメリカに付いた1950年の朝鮮戦争の行方は実に興味深いところですが、見事に両者引き分けでした。米中とも多大な犠牲を出して、結局、国境線は元に戻っただけでした。

今、韓国が急速に「自分たちは元から西側世界の一員だった」という顔をし始めています。一方で北朝鮮は、一時、中国との関係が悪化していたものの、日米韓との対立のあまり、もしかすると、元の鞘(中ロ側)に収まるのではないかという見方も出ています。

これはどうやら1950年の朝鮮戦争のパターンに近いですね。私が健韓ジョークを言っていると受け取る人がいるかもしれませんが、本気も本気です。歴史的な疫病神さんが分裂してそれぞれに付こうとしているわけですから、次の大戦は西側が勝つとは限らない。

しかも、朝日新聞と韓国だけでなく、他にも「逆神」と呼べる存在が、保身からか次々と反中姿勢に転じています。こういう見方が非論理的・迷信的なのは確かでしょう。しかし、論理的に考えれば、未来が予測できるのかというと、そうでもない。ですから、歴史的な証明に頼るということも一つの手法なわけです。世の中には、何をどうやっても判断を間違えるという、不思議な人たちがいるのも確かです。おそらく、それは彼ら自身の責任というよりも、そういう役割を背負ってきたという、因縁のようなものです。

他人のフンドシで相撲をとる

そして、「逆神」たちといえば、最高値で株を掴みにいく存在も同然ですから、ちょうど今は、相場でいえば「転換サイン」が来たということでしょう。つまり、中国を徹底的に叩けばいいかというと、これからは、決してそんなことはない。

米国防総省はすでに十年前から中国を明確に仮想敵国に定めています。2015年に入ってからはCFRがそれに追随するようになりました。国防総省、国務省と来たら次はホワイトハウスですが、おそらく現実の政策として降りてくるのは2017年の新政権でしょう。

『アメリカの狙いは「リメンバー・ロナルド・レーガン」か』でも言いましたが、アメリカの態度もおかしい。何かの底意がある。アメリカは中国の暴走を利用して、うまく「国際秩序を乱す悪者」に仕立て上げることに成功しました。国際的な大義名分を得た以上、あとは「最初の一発」さえ撃たせれば、「正義の戦争」に持ち込むことができます。

考えてみれば、日本は直接、南シナ海には接していません。迂回ルートもあるわけで、必ずしも生命線というわけではない。

と言うと、尖閣諸島(東シナ海)の問題はどうなるのか、と言う人もいるでしょうが、それは南シナ海ではなく、米軍の日本駐留と交換条件です。それゆえ尖閣諸島には安保第五条が適用されるわけです。むしろオバマ以前に確約を取らなかったことが異常です。

つまり、日本は必ずしも南シナ海問題の当事者ではない。だから、日米安保の適用範囲外でいいわけです。日本は表向き中立でも許されるわけです。

むろん「何もしない」では、裏切りと見なされるかもしれません。そこで、南シナ海で軍事衝突が起こった場合、当事者ではなく、あくまで支援者という立場に徹する。これは逆にいえば、直接的な戦いは、自分がやるのではなく、やりたい国にやらせるということです。つまり、責任転嫁(バック・パッシング)ですね。こういう専門用語を使うと賢く見えると思って使ったのですが、タネを明かすと、地政学者の奥山博士から以前に教わった用語です。

私はイデオロギーでものを判断しません。私は「現実が真理である」と考える現実主義者なので、常に風見鶏です。つまり、「風=現実」を見極めて、その都度、最適化すべきだと考えます。

今後、中国側の先制攻撃(もしくはそのでっち上げ)により、本当に「リメンバー・ロナルド・レーガン!」という展開になるのか否かは神のみぞ知るところですが、仮に米中で殺し合うというのなら、勝手にやり合えばいい。日本が他人の海で義理立てする必要はありません。むしろ、ここが大戦の発火点と化した以上、今から関わりを最小限に抑えていくべきだと考えます。

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