2月8日、平昌五輪の開会式を前日にひかえ、北朝鮮が軍事パレードを行った。また、訪韓した安倍総理に対して、韓国の与党議員・大物議員から「引っ込んでいろ」「出しゃばるな」といった、非礼を超えた悪罵が続出しているという。
どうやら朝鮮半島に対しては、どんな支援や恩も無駄なようだ。
それに関して、過去に飛びっきり悪しき事例があったのをご記憶だろうか。
現・河野外相の父君・河野洋平(以下敬称略)の件だ。私は「なぜ打倒北朝鮮こそ“最高の人道支援”なのか?」という記事で、次のように述べた。
日本は今までどれだけ北朝鮮を支援してきたのか。高市早苗氏は次のように記す。
日本政府の対北朝鮮食糧支援は、1995年6月、同年10月、1996年6月、1997年10月、2000年3月、同年10月にそれぞれ決定され、6回に渡って実施されています。日朝国交正常化交渉は1991年から1992年の間に8回開かれ、その後長らく中断し、2000年に3回行なわれました。前記の食糧支援のうち4回は交渉中断中に実施されています。
出典:https://www.sanae.gr.jp/column_details156.html
そうやって度々実施してきた上、2002年の小泉訪朝後には、政府はまた“人道支援”と称して、北朝鮮に大量のコメを送った。この件に関してググってみると、政府は最終的に118万トンものコメを送ったらしい。しかも、うち60万トンは新米。
というのも、時の河野洋平外相が「自分の責任でコメを送る。送れば北朝鮮は心を開く。古米は失礼だから新米を送る」などと言い張ったらしいのだ。
この河野洋平の“善意”はその後、どんなふうに報いられただろうか。日本から新米を貰った北朝鮮は“心を開いた”だろうか? 問いかけるだけ時間の無駄だろう。
ちなみに、世間では2002年の日朝首脳会談を演出した当時小泉純一郎総理と外務省アジア大洋州局長の田中均を変に評価する向きがあるが、とんでもない錯誤であり、私は逆に日本の対北政策における「15年間の失敗」の始まりだったと考えている。
当時、ブッシュ政権から攻撃の標的と名指しされ、北朝鮮は恐慌状態だった。その打開策として、彼らは日本を取り込み、利用することにした。その策略にまんまと乗せられたのが田中均だった。ところが、世間には「北朝鮮側をうまく交渉に引きずり出した」というストーリーで通っている。金正日に拉致を認めさせ、わずかな拉致被害者を取り返せたのも、計画されたというより、その場の成り行きで偶然得られた成果だった。
河野洋平が国に与えた莫大な損害
話を戻す。問題はその後に河野洋平が北朝鮮に大量のコメを送ったことだ。大方、軍人を養う経費が大きく浮いて、その分は核・ミサイル開発に回されたに違いない。
このうち、どこまで河野洋平の責任なのか。
118万トンすべてか。それでもいいかもしれないが、ただ決定には当時の小泉総理ほか自民党の様々な大物議員も絡んでいるわけで、さすがに河野一人の政治力に帰すには無理がある。しかしながら、「古米は失礼だから新米を送る」と本人が発言していることから、そのうちの「60万トンを新米にした分」には確実に責任が被ってこよう。
その強引な決定によって、国民また納税者はどれくらいの損害を被ったのだろうか。
当時の新米の仕入れ方法については政府備蓄米制度を参考にした。同制度では毎年、新米を購入する。産地ごとに値段とトン数が異なるので平均価格を産出するのは思いのほか複雑になるが、1キロあたり2~300円の間に収まるようだ。それが翌年から「古米」と呼ばれ、必要に応じて放出されていくが、余剰分は永遠に倉庫に眠るわけではなく、5年間ほど経過すると飼料用として格安で民間業者に卸される仕組みだ。その価格は米国産トウモロコシなどの輸入飼料に近い水準で、だいたいキロあたり2~30円。
以上、当時の価格水準からすると、河野洋平が北朝鮮に古米ではなく新米を送ったことにより、国に1キロあたり200円の損害は与えた可能性が高い。
すると、60万トンで、ざっと1200億円の損害ということになる。
「政治家たるもの責任を取るべし」は河野洋平自身の政治信条だ
河野洋平の罪状は「国から新米を騙し取った罪」だ。被害者は日本国民であり納税者である。しかも、言ったように、北朝鮮の軍事費の捻出に一役買った可能性が考えられるから、単に「税金をドブに捨てた」では済まされない重大な事案である。
自分の責任でコメを送る。
河野洋平はそう言った。しかも、この時だけでなく、彼は普段から「政治家の責任」ということを強調している。日本財団のサイトでは「人間の命を守る政治家の責任」と称して、内政・外交・原発問題などについて、政治家の責任感不足を憂いている。
「責任」という言葉をやたら連発するのはいいが、まずは自分が範を見せるべきだ。「政治家たるものは」(キリッ)と持論をぶつが、自分も政治家の端くれだろう。
というわけで、河野洋平は責任をとって損害分を弁償せよ。
払えないなら切腹せよ。
それがこの国の為政者たる者の責任の取り方であり、民衆への詫び方だ。
(蛇足:北朝鮮問題に対する河野洋平の現在の主張について一言)
ちなみに、彼は昨今の北朝鮮問題に関して次のように主張している。
「権力者側が自分の都合で解散するのは果たして良いものか」 河野洋平元衆院議員が安倍享三首相に苦言 2017.9.20 21:59更新
話がパターン化している。北朝鮮がミサイルを撃つ。核実験する。国際的な挑戦で暴挙だ。北朝鮮をやっつけないといかん。制裁しないといかん。次に、中国がまじめに制裁をやらないからだめだということになる。それがぐるぐる回っているだけで、問題は解決しない。中国が警戒感を解かないのもわかる。北朝鮮問題を解決するために、どういう仲間が組み合ってやるか、しっかりとまとめないといけない。
北朝鮮の問題でわれわれが真剣に考えるのは、中国であり、日本であり、韓国だ。日中韓がこの問題で大きなダメージも何かあれば受けるし、被害も受ける。そして問題が解決すれば、われわれが一番安心できる状況になる。この日中韓が一体になって北朝鮮を説得しなければ駄目だ。
だが、なかなか日中韓が話し合う状況にない。3カ国が話し合える態勢にないことが北朝鮮につけ込まれる一つの理由になっている。政治的努力が足りない。米中の緊密な話し合いも必要だ。その仲立ちを日本は積極的にやるべきだ。
さて、上を読んだ人は、どうお思いだろうか?
はっきり言って、こういう抽象的な常識論は、この度に至っては何の意味もない。
「話し合うべきだ」というのは、朝日新聞の社説と同じで、誰にでも言える。
北朝鮮との話し合いは、昔からずっとやって来た。六カ国協議はその典型だった。また、国際社会は北朝鮮に対して繰り返し援助してきた。日本も常にやってきた。
その20年間の対話と援助の結果はどうだったのかが、今問われているのだ。
北朝鮮いわく「核ミサイルで日本を滅ぼしてやるぞ」である。
その現実に対して、上の河野洋平の主張は何の意味も成さない。一ライターの私ですら、もっと具体的なこと言っている。彼がどれだけ無責任な人物かがよく分かる。
河野洋平のように、政治家たるものが誰でも言えるような無責任な理想論や平和論のお題目ばかり唱え、眼前にある現実や脅威と真剣に向き合って来なかったから、今みたいなとんでもなく危険な状況になったのではないか。
(あと、河野洋平といえばコレ↓。「中国の機嫌が悪くなった、大変だあ、安倍は許せない」という、驚くべき主張を平然としている。あかん・・せめて潔く切腹せよ)
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