ソフトバンクがモンスター企業になる日

政治・社会




グループの中核子会社であるソフトバンクが株式上場し、2兆6千億円もの資金を市場から調達したとして、トップニュース扱いになっています。

報道によると、他方でグループは16兆6千億円もの有利子負債を抱えており、来年にも続くFRBの金利引き上げに対応するためにも資金が不可欠とのことです。

時期を同じくして、グループ企業のpaypayのキャンペーンも行われました。

スマホ決済に際して特別に100億円もの消費者還元を実施する期間限定サービスで、加入してもいないのに盗まれたクレカの情報を使われたなどの被害も出ました。

ただし、政府は今、電子決済の普及を促進している。いわば「国策」です。

よって、アップル、グーグル、スイカ、その他の電子ペイもそうですが、paypayとしても今後5年や10年は追い風でしょう。

電子決済では中韓が先行しています。とくに、中国は、元々日本が生み出したQRコードによるモバイル決済が急拡大し、それ一色で塗り潰されようとしている。ソフトバンクが有力株主でもあるアリババのEコマースでの桁違いの売上げが日本でも話題になっていますが、中国でのモバイル決済の取り扱い額はすでに3千兆円を超えているという。



世の中は超管理社会の実現へと向かっている

さて、私がかなり前から懸念していたことで、かつ今回、paypayがクローズアップされたことでさらに危機感が深まった事があります。

第一に、ソフトバンクに限らず、社会全体のシステムとしての怖さですが、それがデジタル技術を使った「管理社会の高度化」です。

第二に、ソフトバンクに限った話ですが、ソフトバンク自体の支配力の怖さです。

世間ではあまり、というか、全然注目していない点だと思います。

第一については、2年半前くらいに書いたことがあります。

「黙示録」の「獣の刻印」とロックフェラーの人類奴隷化計画
新約聖書の最後を飾る「ヨハネの黙示録」は昔から不気味な予言書として知られてきた。神の前にいる七人の天使がそれぞれラッパを吹いていく様をヨハネは幻視するのだが、なにしろ、そのたびに凄まじい災いがこれでもかと地上に襲い掛かっていくのだ。 たとえ

(前略)便利になった反面、消費履歴が常に大企業に把握されるようになった。また、GPS装備のケータイやスマホを持ち歩くことで、常に居場所まで知られている。これに電子カルテ(病歴)や電子身分証などが一体化しようとしている。(略)

全市民の消費・動態履歴や個人情報が一元的にスパコン管理される未来は、決してSFの話ではなく、近い将来に実現する(略)。

つまり、自分専用のスマホがなければ何も買い物ができず、交通機関や病院や公共施設も利用できず、商取引や社会保障からも排除され、自分が何者であるかも証明できないよう、利便性の名の下に世界各国を「100%電子決済社会」に作り変えてしまうわけだ。(略)

そのスマホは住民票やパスポートなど「電子身分証」も兼ね、また決済履歴だけでなくGPSを通して常に動態まで管理されるので、もはやジョージ・オーウェルの『1984年』ばりの超監視社会の実現である。

政府の然るべき人物なら、上を読んで「凄い」とか「なんで?」などと思うんじゃないでしょうか? なにしろ「政府発表→大新聞報道」よりも前に、私は役所系の個人情報も必ず紐付けられて一体管理されると断言してきたわけですから。

それは次に触れるとして、ここではソフトバンクに焦点を当てたい。

ソフトバンクのアカントが「万能アカウント」になる

ではpaypayが普及することによる「ソフトバンク自体の怖さ」とは何でしょうか。

ソフトバンクはすでに独自のカードを発行していますが、即時型の電子決済の普及によって、いずれクレジットカードの役割自体を飲み込んでしまうでしょう。

その後には「銀行口座」も飲み込んでしまうでしょう。

つまり、電子マネーの口座・決済機能を有することで、ソフトバンクが文字通り「BANK」になるわけです。

そうすると、どうなるでしょうか。これまでソフトバンクが独立事業として育ててきたビジネスが、一気に「生きて」きます。

単なる連携から一体化へと進み、かつてない消費者の囲い込みが可能になる。

ソフトバンクのアカントは「万能アカウント」になるでしょう。

つまり、その一つさえ持てば、インターネットを利用したあらゆるサービスが享受可能になる。ネットライフが同社グループ内で自己完結するわけです。

ソフトバンクは今やグループ1500社も有する集団だそうですが、代表的な事業は以下のものです。

第一に、移動通信サービス、iPhoneやアップルウォッチなどの携帯端末の販売、ブロードバンドなどの固定通信サービス。

第二に、ヤフーの運営。インターネット・プロバイダーであり、ポータルサイトの強みがある。広告事業、ヤフーショッピングなどのイーコマース、GYAO!などのコンテンツ配信、オークションなどの売買仲介等、無数のビジネスが傘下にある。

第三に、私は「投資」事業を挙げる。孫正義氏自身が最高の目利き。次世代のイノベーションの原動力となりえるシード企業をたくさん抱えている。とくに、AI・IoT・ロボット分野を制しにかかっている。ハードウェアにも進出し始めた。最新の半導体チップの設計を手掛けるアームも手に入れた。再生エネ分野でも非常に大きな存在。

しかも、国内だけでなく、アリババやスプリントを通して世界とも繋がっている。

こういう大企業が、個人や法人の「電子財布」を担うようになり、お金の出入りまでカバーするようになったらどうなりますか、という話です。

ソフトバンクが「BANK」になると書きましたが、従来の銀行以上のことが可能になるという意味において、もはや「スーパー・バンク」と呼んでいいでしょう。

つまり、将来、ソフトバンクと契約した個人は、そのたった一つのアカウントを持つだけで、以下のサービスに一度に加入したのと同じになるわけです。

銀行クレカ口座、ネットプロバイダー、光通信回線、スマホなどのモバイル機器、ネットショッピング、一般小売店でのショッピング、映画やドラマなどの動画コンテンツ鑑賞、株やFX等の金融取引、個人間の売買、配車サービス、等など。

これらが一度に利用可能になる。消費者からすれば、これまで個別に契約していたことによる「縦割り面倒」や「パスワード地獄」から解放されます。

当然、電子身分証や交通機関利用、公共料金や家賃の引き落とし、税金の計算と支払いなどの決済も、ソフトバンク側の口座に続々と引き寄せられていくでしょう。

しかも、アジアや北米に行っても、そのまま使えるとしたら・・・。

どんだけ便利なのか。まさに「万能アカウント」です。というか、もはやソフトバンクと契約しないことには生きていくことすら困難になります。

ソフトバンクは「5G」世代の覇権を制するモンスター企業になるかもしれません。

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