見えてきた共産中国の終わりとラストエンペラー習近平

テロ・紛争・戦争・崩壊
出典:www.telegraph.co.uk たそがれの万里の長城




みなさん、こんにちは。

いきなりですが、下の経済産業省作成のグラフをご覧ください。

中国の生産年齢人口(15歳~64歳)が今ちょうどピークを過ぎて、これからどんどん下降していくことが分かります。

このデータの意味するところは、ある意味、恐ろしい話です。

それは「中国は結局、先進国の水準に達しないうちに急速に高齢化していく」という将来像です。

そもそもこれまでの経済発展のあり方に問題があった。

たとえば、沿海の都市部が国内の大半を占める農村戸籍の人々を低賃金で働かせてきた。この国家公認の差別システムは「国内植民地支配」とも言われる。

また、先進国の技術や製品をただコピーするだけで、イノベーションの努力をほとんどしてこなかった。だから今でも世界的な中国ブランドがない。中国の大企業には、欧米や日本のそれとは違い、独自の製品やサービスという「顔」が極端に小さいんですね。

対して、日本は70年代から電機や自動車や精密機械の分野で欧米をしのぐイノベーションを猛烈に行い、それが巨大な国家的収益へと繋がりました。その国富は偏らずに分配されたとは言い難いですが、それでも国民全体の生活水準の底上げにはなった。

鄧小平は「先に豊かになれるものからなれ」と大号令を発したわけですが、共産党の幹部たちは己の特権やコネを利用して、アンフェアな手段で真っ先に金持ちになりました。普通の中国人はそういう役人の腐敗に物凄く憤っている。当然、社会全体に政治への不満と不公平感が蔓延していて、暴動件数も右肩上がりになっている。

しかも、中国政府は、経済成長を優先させるあまり、人間が生きていく上で最も大切な空気や水源を広範囲に汚染させてしまった。食品の安全、医療体制、社会保障の点でも不備不安だらけ。大半の中国人は今でも安心や余裕のない暮らしをしています。

そして、とうとう、先進国に成り切れないうちに、成長のエンジンである生産年齢人口がピークを過ぎてしまった。だから、これまで人民に還元されるべき国富を収奪して好き放題に特権を貪ってきた共産党幹部ほど、将来に不安を覚えている。

彼らは「このままでは国がもたない。いずれ溜まりに溜まった巨大な内部矛盾の清算を強いられる時が来る」と内心で“分かって”いるので、安全な西側諸国に資産を移し、家族に市民権を取得させて、逃げる準備を整えている。すでに党幹部の9割がそうしているという。自分たちだけ泥船から逃げおおせようという魂胆です。



 「AIIB」と「一帯一路」構想は国内矛盾の打開策でもあった

最近は中国内の危険な兆候がかなり表面化してきました。

中国専門家の宮崎正弘氏がこんな記事を書いています。

中国に迫る経済大崩壊 人民元暴落は時間の問題、大混乱は必至 2017.3.30 11:30更新

【中国大混乱(4)】中国に迫る経済大崩壊 人民元暴落は時間の問題、大混乱は必至(1/2ページ)
中国経済は無数の爆弾を抱えている。リーマン・ショックを越える超弩級(ちょうどきゅう)のバブル崩壊が射程に入ってきた。(夕刊フジ)

中国経済は無数の爆弾を抱えている。リーマン・ショックを越える超弩級のバブル崩壊が射程に入ってきた。(夕刊フジ)

異様な住宅投資、不動産バブルの破裂、地方政府の債務不履行、企業倒産が続き、鉄鋼や石炭、レアアースなどの企業城下町では数万人規模の暴動が起きている。軍人30万人削減が発表されて以来、旧軍人の抗議デモが北京のど真ん中で起きた。

野放図な鉄鋼、アルミ、セメント、建材、板ガラスなどの過剰生産と在庫は経営を圧迫するが、国有企業の効率的な再編は遅れに遅れている。

債務不履行を避け、不動産バブルの炸裂を回避するために、過去2年間、中国当局が採用してきた政策は、西側資本主義では考えられない無謀さを伴った。(略)

外貨準備を減らさないために、資本規制という禁じ手を用いる一方で、外貨交換は年間5万ドル(約560万円)以内に制限した。(略)

日本企業も、中国からの利益送金が来なくなって悲鳴を挙げている。

一方、当局に寄せられた新規マンション建設の申請は、合計34億人分と発表された。中国の人口は14億人だから20億人分の空部屋をつくるという計画だ。(略)

究極的に中国の債務は30兆ドル(約3376兆円)とされ、銀行の不良債権問題が浮上する。人民元の大下落は時間の問題である。(略)

人民元暴落を見越して、昨年までは海外の不動産「爆買い」を続け、外貨が規制されると人民元で購入できるトヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」や、スイスの高級腕時計「ロレックス」、仮想通貨の一種「ビットコイン」、「金塊」買いに狂奔している。

大混乱は必至である。 =おわり

明らかに内部矛盾が激化しているんですね。

戦後72年目の日本もそうですが、中国の場合はもっとブレ幅が大きい。

中国はとりわけリーマン・ショック後、公共投資で経済を牽引してきて(しかもそれはバブル経済崩壊後の日本の対策に学んだものとも言われる)、それで日本や世界の経済も助かってきた面があるのは否めない。ただ、上の記事にもありますが、そのマジックも種が尽きてきて、中国は物凄い過剰生産と過剰在庫に苦しみ始めている。とくに不動産・住宅投資などは、供給過剰という表現すら生易しい、ナンセンスになってきた。

実は、AIIB(アジアインフラ投資銀行:Asian Infrastructure Investment Bank)と「一帯一路」構想は、その内部矛盾の打開策でもあるんですね。

つまり、本音は、国内で限界にきた中国資本のために、ビッグビジネスを海外に作りましょうという話。生産力のはけ口を海外に求める・・帝国主義ですよ(笑)。中国はアフリカを実験台にして海外のインフラを作るノウハウも積んできました。

中国人からも本当に支持されない体制の太鼓持ちをする日本の愚かな政治家

結局、中国共産党は、本当には中国人民を代表していなかった、ということです。

一般の中国人も、共産党の幹部たちが、口先では愛国を煽りながら自分たちだけ国を見捨てて逃げようとしている実態をよく知っています。

日本の都市部の不動産やビットコイン市場が一見活況を呈しているのは、中国富裕層の資産逃避と表裏ですから、注意するに越したことはありません。

だから、普通の中国人は内心で、今の共産党独裁体制が倒れてほしい、早く市民が国会議員や国のリーダーを選挙で選べる民主政のシステムに変えたいと願っている。

こういう、ほとんどの市民からは真に支持されていない、怨嗟の的になっている体制を、さも真の中国であるかのように錯覚して、自分のことを「日中友好の信念に燃える政治家」と自己陶酔しているのが、先の記事で取り上げた河野洋平なんですね。あと、二階俊博(にかいとしひろ)、野中広務、加藤紘一、鳩山由紀夫などもそう。

本当に恥ずかしい連中です。彼らが中国のポテンシャルを一番分かっていない。

むろん、共産党もこの大衆願望を知悉しているから、「愛国」を煽って人民の不満と怒りの矛先を外敵に向けるという政治をやって来た。だが、最近は大衆のほうも「反日扇動」に簡単には乗せられなくなってきた。しかし、長年、外国に対する敵意を植えつけられてきた“愛国的な”層が社会の中に分厚く形成されてしまったこともまた事実。

習近平政権は今、そういう層と結託して、ポピュリズム政治を始めている。

対外拡張を加速させる中国と軍事衝突は避けられないのか

実は、内部矛盾の打開策を海外に求める行為は、何も国内経済に限った話ではないんですね。台湾、尖閣諸島、南シナ海などの問題も同列です。

これは政治矛盾の打開策を対外拡張に求めているわけです。ちょうど、1920年代に四つの経済恐慌に苦しんだ日本が、30年代から満州に目を向けたように。

中国はこれまで毎年、二ケタの軍拡をやってきたんですね。

最近は二ケタを割りましたが、それでもこんなニュースが飛び込んできた。

中国17年国防費は1兆440億元 初の大台突破、日本の3.3倍 2017.3.6 12:33更新

http://www.sankei.com/world/news/170306/wor1703060038-n1.html

【北京=西見由章】中国財務省当局者は2017年度の国防予算が前年度実績比7%増の1兆440億元(約17兆2000億円)に上ることを明らかにした。AP通信が6日までに報じた。(略)

中国の国防費が1兆元を超えるのは初めて。米国に次ぐ世界第2位の規模で、日本の平成29年度予算案の防衛費5兆1251億円の約3.3倍にあたる。

公表数字で約17兆円の国防費です。

しかし、中国は軍系企業がビジネスして独自の財源を持っているから、実態としてはこの何割も増しという見方もあります。

で、この内部で膨れ上がる軍事力を今、海洋進出へと向けているわけです。

しかも、以下で言ったように、中国が南シナ海を埋め立てて軍事拠点化を進めた背景には、誤ったシグナルとなった日米の宥和政策も関係している。

チェンバレン外交の轍を踏んだ民主党政権と野中広務氏ら
今、南シナ海で米中が一触即発の状態にある。 7月12日、国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海に関する中国の領有権主張を退ける判決を下した。 アメリカは昨年10月、原子力空母ロナルド・レーガンを横須賀基地に派遣し、南...

この動き対して、今、多国間連携を強化して対応しているのが安倍外交。当然、中国からすれば「野望を邪魔された」となる。

で、この侵略者の立場にたって、「安倍政権は中国包囲網を形成して中国の機嫌を損ねている」などと非難しているのが、みっともないパシリの河野洋平。

ただ、南シナ海については、私もあんまり深入りしないほうがいいと思います。こういうのは中国と利害の衝突する他国をうまく使わないとダメです。

ただ、中国と本当に衝突するのは、やはり「太平洋の覇者」たるアメリカ。

アメリカはすでに2006年の時点から中国を仮想敵国と位置づけ、明確に狙いを定めていますが、トランプ政権でその動きが加速した感がある。

『米中もし戦わば』などの著書のある対中強硬派のピーター・ナヴァロ氏を新設の「国家通商会議」のトップに据えたのはその象徴でしょう。

アメリカの動きと今後の中国の運命については、ある程度記事にしてきました。

トランプ政権の対中ロ外交はキッシンジャー戦略の修正再起用だ
さて、トランプ新政権を指して私は勝手に「ネオ・ネオコン政権」とあだ名しました。トランプでもヒラリーでも大きな違いはないというのが私の考えです。 両者の極端な対ロシア姿勢の違いについては、主として「影の政府」内の路線対立が反映されたものであり...
アメリカの「打倒中国路線」は2006年から始まった
みなさん、こんにちは。 もしかして、昨今のニュースや識者解説の影響を受けて、 「どうやらトランプ政権になってから、アメリカは急に方向転換して、中国を倒すことに決めたらしい」などと納得している人はいませんか? その考えは、全然、間違いだと思い...
なぜ共産中国は”打倒”されるのか? その知られざる根源的理由
「アメリカの「打倒中国路線」は2006年から始まった」のつづき。 2000年に大統領に就任したプーチン&旧KGB軍団による猛烈な反撃があり、そこへさらに胡錦濤の中国が「反欧米」で合流したため、世界は冷戦バージョン2へと移行しました。しかも、...
すでに始まったトランプの米国 VS 中国の激突
2006年以降の「流れ」を説明したのが前の二記事だった。 いわば「縦軸」の視点である。対して、この記事では、主として「横軸」の視点から、中国を取り巻く現状、そして同国の「これから」を予想してみたい。 米中は根本的な面で衝突し始めた これは「...
共産中国の運命は決した――開戦滅亡か、内乱分裂か、二つに一つだ!
さて、前回からの続きだが、ある意味、ここから本題である。 中国はリーマン・ショック以降、空前の財政出動によって景気を下支えしてきた。これは日本のバブル崩壊後の対策に倣ったものらしい。この中国の思いきった景気対策は、当時の日本と世界の景気回復...

増長する新興国にありがちなことですが、中国はどうも局地戦をやりたがっている。CIA前副長官のマイケル・モレルなどは「アメリカと中国は戦争になる」と言っています。しかし、私的には、日米と本格戦争に至って欲しくない。

本当の戦争になれば、アメリカは容赦なく核兵器で中国を滅ぼしてしまうだろう。私的にはそれが耐えられない。ここだけの話、「中国人の数を大幅に減らしたい」などと考えている連中もいるわけです。しかも、日本を当て馬にしてやろうと。

「自壊→内乱→再生」のほうが、中国と中国人にとってはるかにマシな――それでも数千万の犠牲者が出る可能性はあるが――選択になります。

例の「72年周期説」でいえば、1949年10月に毛沢東によって建国宣言された中華人民共和国(PRC:People’s Republic of China)は、2021年にいったん区切りがくる予定です。断末魔の現独裁体制が悪あがきしないことを望むばかりです。

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