長期停電と断水のリスクにどう備えるか?

人災・天災




9月8日から9日にかけての台風による停電と断水が千葉県で続いている。

今回の断水はすべて停電が原因だという。

報道によると、房総半島の南に行くほど復旧が遅れるらしく、最南端の館山市と南房総市、あわせて約2万5千世帯は、あと二週間くらいかかるという。

つまり、最悪3週間の停電である!



停電が数ヶ月も続く悪夢!

なぜ復旧が遅れているかについてはすでに連日詳しく報じられているので、ここでは繰り返さないが、千葉にマンパワーが集中的に投入されていても、このザマである。

すると、仮に「令和関東大震災」が起きたら、どんな事態になるのだろうか。

ましてや「南海トラフ地震」も連動する「慶長大地震」型ともなれば!

ズバリ、最悪2~3ヶ月の停電と断水は覚悟しなければならないのではないか。

しかも、今度の千葉の件では、各地から続々と応援が入り、支援物資も届けられているが、被害規模があまりに巨大すぎると、そういう支援が期待できない可能性もありうる。

すると、最悪、備蓄のほうも、同じだけの期間は必要になるかもしれない。

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停電と断水はセットになっていると覚悟したほうがいい。

取水ポンプや送水ポンプなど、浄水場設備は電気があって始めて機能する。

2018年9月の北海道地震後の緊急調査で、給水に電力が必要な施設は全国10745箇所あり、うち62%に自家発電設備がないことが判明している。

しかも、自家発電機がある施設でも、あくまで燃料供給の継続が前提の話だ。

自宅が揺れに耐えても火災で震災難民に

巨大震災後も、まだ「家」がある人は、マシなほうかもしれない。

一番悲惨なのは、家を失って、なおかつ避難所にもまともに入れない被災者である。

こういった「震災難民」の発生は決して絵空事ではない。

まず、どんなシミュレーションでもはっきりしているのは、地震の揺れ・倒壊そのものよりも、火災による犠牲者のほうがはるかに多いということ。

なにしろ、消火が困難なのだ。道路は寸断され、水は断水。

当然、火災は消防隊の対応能力を超えている。

恐ろしい話だが、大震災の直後、多くの火災は放置される可能性が高い。

だから、仮に地震の揺れで家が無事でも、その後の延焼でどうなるかは、神のみぞ知る、というより、都や県のハザードマップくらい見といたほうがよい。

都心よりも、むしろ墨田区、世田谷区、大田区などの下町のほうが危ないとされている。こういった地区では、火災による延焼が広範囲にわたる可能性がある。

何十万という「震災難民」の発生は、専門家も警告しているのだ。

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最悪の場合は半無政府状態へ

しかも、来たる「令和関東・南海トラフ大震災」では、私は極めて特異な事態が起きると前々から予測している。それは専門家もまだ指摘していない(と思う)ことだ。

それは「役所の拠点機能喪失」である。

災害復旧は第一に地元自治体が担当しなければならないから、そのような事態に陥ったら地域が「半無政府状態」と化す可能性すらある。

これには上で述べた長期停電と断水が関係している。

2018年9月の北海道地震では、「長期停電」の問題が浮き彫りになった。

NHKでもスペシャル番組をやっていたが、大きく取り上げられていたのは、病院の機能停止による治療の困難と人命の損失リスクだ。

一般に病院には自家発電機が装備されている。しかし、準備されている燃料は、数時間がせいぜいであり、長いところでも数日分がせいぜいである。

実は、役所もまた同じである。

各役所は衛星通信を装備しているが、これも電源あっての機能である。

むろん、役所には優先的に燃料や電源車が回される。

ただ、何ヶ月もの長期停電は、そもそも「未想定」なのだ。

しかし、それが現実にありうることは、今度の千葉県の現実が証明した。

言ったように、台風程度で最長3週間だから、「令和関東・南海トラフ大震災」ならば最悪2~3ヶ月は想定しなければならない。従来の復旧スケジュールでは甘い。

だから、私は以前にも、役所は大規模な太陽光パネルを設置すべきと書いている。

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長期停電中でも、役所など、都市の一部施設に、夜も煌々と明かりが灯っているだけで、地域住民に与える安心感は計り知れない。

しかし、一切が暗黒であれば、都市部においては容易に治安が悪化する。

水や食料が足りぬということであれば、まったくの一般市民が泥棒・掠奪に走る可能性も考えられる。と言っている私も、背に腹は代えられぬからやるかもしれぬ。

「日本人は民度が高いからそんなことはありえない!」のだろうか?

災害後も日本人がキチッと支援物資に列を作るのは、まさに「役所なり自衛隊なりボランティアなりの誰かが支援してくれるから」という安心感があるからだと思う。

しかし、震災被害があまりに甚大で、被災者が溢れかえっており、かつ役所という復旧拠点が機能停止となると、人々は強い不安に駆られる可能性がある。

つまり、日本人といえども、今度ばかりは非行に走る人が多い可能性がある。

この期に及んでは、東京オリンピックの無事開催・終幕を祈るほかないが、私はもともと「3・11」の「次なる震災」に備えることに尽力すべきだったとの考えだ。

環境・原子力・防災担当小泉進次郎大臣は今、一挙手一投足が注目されている。

是非とも「長期の停電や断水に備えて、すべての役所に水とエネルギーの一定の自給システムを備えよう」と提唱し、整備にリーダーシップを発揮してほしい。

役人は有能だが、先陣を切って新しいことをやるには向いていない。

今希求されているのは政治家のリーダーシップなのだ!

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